
【VOL.2】
運動不足は早死にする? 長生きする?
医者が運動をすすめる本当の理由
医者から「運動したほうがいい」って言われたことないですか?
定期検診や健康診断のとき、医者から「運動したほうがいい」とすすめられた経験はないですか?
血糖値、コレステロールなど、生活習慣病につながるさまざまな数値が、標準を上回ると、だいたい「運動しましょうね」といわれます。
でも、たいがいは「はい、そうですね」と言いつつ、聞き流してしまいがちです。 「運動したほうがカラダを壊しそうだし……」 そんなことを言いわけ気味に、心のなかで唱えている人も多いのでは?
もちろん、長生きするには、食べ物にも注意が必要だと思いますが、医者があえて運動をすすめるのには理由があるのでは? 運動はカラダにいいって本当のところ、どうなんでしょう?
運動する人、運動しない人、長生きできるのはどっち?
2011年に、台湾国立医療研究所の研究チームが、約40万人を対象に8年ほど追跡した統計データが発表されました。
すると、1日あたりの運動時間を15分ずつ増やしていくと、約4%ずつ死亡のリスクが低下することがわかったそうです。運動の種類は、ウォーキングやジョギング程度の軽めのもの。仮に30分のウォーキングを毎日続ければ、平均にして4年ほど寿命が延びる計算になるとか。
1日たった15分の軽い運動(ウォーキングやジョギング)でも、健康増進には、効果がありそうですね。金さん銀さんのように100歳まで健康長寿を目指すなら、運動しておいたほうが良いかもしれません。
実際、運動ってそんなに健康にいいの?
では、健康診断で引っかかりやすい血糖値やコレステロール値などに対し、運動は具体的にどのような効果があるのでしょうか?
血糖値と運動の関係は?
血糖値は、血液中に含まれる糖の値のこと。糖は筋肉を動かすエネルギー源なのですが、運動しないと余ってしまいます。余ったものはどうなるかというと、細胞に脂肪として取り込まれ、それが習慣化すると肥満になってしまいます。
ですので、運動をすることによって、糖をエネルギーとして使ってしまえば、血糖値の極端な上昇を避けられるので、糖尿病の予防にもつながるというわけです。
コレステロールと運動の関係は?
コレステロールには、善玉コレステロール(HDL)と悪玉コレステロール(LDL)があります。善玉と悪玉と呼ばれているので、「善玉だけ必要で悪玉は排除」みたいなイメージが持たれがちなのですが、実は2つとも大事な役割があって必要なもの。
LDLは、細胞膜をつくったり、神経を保護したりするコレステロールを全身に運ぶ運搬役。一方、HDLは、血管にへばりついた古いLDLコレステロールを回収するお掃除係です。
運動をすると、悪玉LDLこそ減らないものの、善玉HDLが増えるという効果があります。つまり、運動は「血管内のお掃除力」を高めるということですね。

「ちょっとだけきつい」運動がベスト!
健康のために運動を始めるとしても、やりすぎは逆効果。尿酸値などは、激しい運動をすると逆に増えてしまうそうです。
前述した台湾の研究データにもあるように、運動不足の人にとってベストなのは「軽めの運動」。
では、軽めってどれくらい? と思うかもしれませんね。
本当に何年も運動をしていなかった人であれば、ちょっと走っただけでも苦しいですよね?
心拍数を計測したりする方法で、客観的な数値管理をする方法もありますが、それさえ面倒という人は、「ちょっとだけきつい」という感覚を目安にしましょう。
たとえば、ウォーキングでそういう感覚になれば、運動不足の人でも、きつすぎず、軽すぎずのちょうどよい負荷になります。
運動時間は、台湾の研究データにもあるように、ムリせず15分くらいから始めて、問題なければ30分くらいまで。続けられるレベルで良いと思います。
散歩ペースでゆっくり歩くより、「きびきび歩き」で歩いたほうが健康効果もアップするそうです。それも個人差があるので、あくまで「ちょっとだけきつい」感覚をベースにしましょう。
これなら、運動が苦手な人でも簡単にできそうですよね?
もし、健康診断で引っかかったら、とりあえず1日15分の運動から始めてみませんか?
(監修・執筆 千葉慶博)