【人生100年時代コラム VOL.04】空き家対策が動き出しています

実家の空き家。”負動産”にしない《残し方》は?

2018/09/20

実家の空き家。負動産にしない《残し方》は?

今や、空き家は全国で820万戸にも上る勢いに。社会問題化する中、中古住宅を“負動産”にしないためのさまざまな「手放す」「残す」ビジネスが増加中。「地方だから売れない」「残したいけど管理が大変」──。そんな人にも便利と話題です。

  • 親の家を上手に残すには

    「家は早めに手放した方が得策」といっても、「いつか自分が暮らすかもしれない」「とりあえず残しておきたい」など、いろいろな心情から「残す」という選択をする人もいるでしょう。

    「残す」には、大きく分けて「貸す」「維持する」の二択があります。「貸す」という言葉の響きに「空き家にならず家賃収入もある」という甘い期待を抱きがちですが、「家を賃貸に出すということは、リスクが伴うもの。オーナーとしての覚悟が必要」と話すのは、大手住宅メーカー勤務の経験を生かし、相続対策などのアドバイスを行うファイナンシャルプランナーの松浦建二さんです。

    松浦さんによると、まず貸し出せる状態にリフォームする初期投資が必要となり、立地によって希望価格では借り手が付かない可能性も。さらにメンテナンス費用、トラブル発生時に駆けつけるための交通費、固定資産税、マンションなら管理費や修繕積立金も発生――と、借り手がつかなければ”大赤字”です。

    こういったリスクや手間を軽減する手段として不動産業者に賃貸経営を委ねる方法もありますが、「信頼できるリフォーム業者や不動産業者を知らない」という人は、「空き家バンク」に賃貸物件として登録する手も。

    自治体に登録の申し込みをすると、現地調査を経て登録が完了。家の写真とともに築年数、賃貸額がインターネット上に公開され、自治体職員の仲介でマッチングが成立することも。ただし、マッチング率は自治体によって大きな差があるということを心得ておく必要があります。

    空き家率が14.8%(13年総務省調査)と、都内で2番目に高い大田区は、14年から空き家のマッチング事業を開始。しかし、2年間で成立したのは英会話サロンや保育施設、外国人向けゲストハウスへの活用などわずか5件。「古い物件の多さがマッチングの壁になっている。貸し手と借り手の希望額で折り合いがつかないケースも多い」(大田区まちづくり推進部)。「貸す」という道を選ぶなら、家の状態と希望額を冷静に判断する必要がありそうです。

    最近は、海外旅行者などに家を短期貸し出しする空き家活用も話題です。代表的なものに「Airbnb」というマッチングサイトがあります。ただ、家や空き家に人を宿泊させる「民泊」は、住宅宿泊事業法(民泊新法)が2018年6月に施行され、認可が必要となりました。始める前にまず、親の家のある各都道府県に相談をすると安心です。

  • 親の家を残すなら、月100円からの代行管理サービスも

    親の家を残すなら、月100円からの代行管理サービスも

    一方、「家を維持する」と決めたら、「放置空き家」にならないように管理せねばなりません。とはいえ、定期的に手入れをするのは経済的・身体的・心理的にも負担が重くのしかかるもの。そんな場合に便利なのが、親の家の管理代行サービスです。

    「月額100円」と格安サービスをうたうのは、NPO法人 空家・空地管理センター。13都道府県・93市区町村で管理サービスを展開しています。破格の安さではありますが、外から空き家の状況をチェックしてくれるほか、巡回報告書を写真付きでメールしてくれます。さらに数百円のオプションでポストの清掃や郵便物の転送なども可能。

    「『親の家は子が守らねば』と最初はサービス利用に罪悪感を抱く人も少なくない」と話すのは、同法人代表理事・上田真一さん。しかし、一度サービスを利用すると、心の整理ができて売却や賃貸など次のステップに踏み出せるケースがほとんどといいます。

    「大切なのは、親が元気なうちに家をどうしたいか話し合い、動き出しておくこと。思い出が詰まった親の家の相続は、親の思いをおもんぱかる”優しい子”ほど、もめるものなのです」(上田さん)

    ほかにも不動産会社や建設業、警備業などさまざまな業種がこういった代行ビジネスに乗り出し、高額なものでも月額1万円前後で雨漏り・積雪の状況確認や換気などを請け負っています。

    ひとりで問題を抱え込まずに、このようなサービスを一度検討してみてもいいかもしれません。

  • NPO法人 空家・空地管理センター

    月額100円(税込)~
    月1回、スタッフが外から家の状況を目視で確認。写真付きメールで報告してくれる。オプションで庭木の剪定など可能。初期費用3,800円(管理中と知らせる看板設置、現況調査費用)が必要。
    電話:0120-336-366
    HP:www.akiya-akichi.or.jp/service/100yen/

    大東建託パートナーズ

    月額5,000円(税別)~
    対応エリアは全国。空き家の清掃・点検、換気・通水を行い、写真付き巡回報告書を送付。郵便物の転送・災害時の臨時巡回も実施。
    電話:03-6718-9271
    HP:www.kentaku.co.jp/etc/ak/

※この記事は、「ハルメク」2017年4月号「相続対策特集」に掲載した『親の家を負動産にしない 手放し方・残し方』を再編集しています。
取材・文=小林美香、田渕あゆみ(ともに編集部)
コンテンツ提供:ハルメク

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