【人生100年時代コラム VOL.05】空き家対策が動いています

親の家を“負動産”にしない<手放し方>

2018/09/27

親の家を“負動産”にしない手放し方

空き家が社会問題化する中、中古住宅を“負動産”にしないためのさまざまな「手放す」「残す」ビジネスが増加中。「地方だから売れない」「残したいけど管理が大変」──。そんな人にも便利と話題です。今回は「手放す」方法をお伝えします。

  • なぜ空き家対策ビジネスが増えているの?

    これまで地方自治体に任せられていた放置空き家の対策を進めるために、2015年、「空き家対策特別措置法」が施行。各自治体で、危険な空き家への指導・勧告がいっそう厳しくなりました。

    指導・勧告対象になる家って?

     

    ・1年以上住んでいない
    ・建物が著しく傾いている
    ・木が道路にはみ出し、通行を妨げている
    ・ゴミの放置や投棄で多数のネズミが発生
    ・多くの窓ガラスが割れている

    などの条件を満たし、各自治体が危険と判断した空き家のこと。固定資産税が最大6倍となるほか、指導・勧告、行政処分の対象となります。

    そのため企業などが、空き家活用の相談や売買、管理代行に続々参入するようになりました。

  • 親の家が遠方でもOK。売れにくい家も売却しやすく

    親の家が遠方でもOK。売れにくい家も売却しやすく

    「空き家を放置すると、そのぶん、毎年の固定資産税の支払いや維持管理に費用がかかります。親の家が遠方にあるなら、帰省の交通費や手間も。使う見込みがないなら、1日でも早く手放すべき」と話すのは、大手住宅メーカー勤務の経験を生かし、相続対策などのアドバイスを行うファイナンシャルプランナーの松浦建二さんです。

    特に首都圏や関西圏、仙台、名古屋、福岡の大都市圏は、地価は上げ止まっているとはいえ、売れる可能性は高いそう。そのため近年、大手住宅メーカーや電鉄系の企業が、大都市圏を中心に、空き家の売買や仲介を行うビジネスにこぞって参入しています。

    「三井のリハウス」でおなじみの三井不動産リアルティは、2016年4月、「売却お任せパッケージ」をスタート。例えば自宅が東京で、親の家が仙台にある場合、仙台に行かなくても、近所の「三井のリハウス」の相談窓口で仙台の家の売却相談ができるという仕組み(ただし、親の家の所在地の近隣にも相談窓口があることが必須)。この他、賃貸や地域での活用など、多角的に用途の相談ができる窓口を開設する企業も増えています。

    とはいえ、親の家が「古いから」「地方にあるから」と、売るのを諦めている人も多いのでは? そんな方に注目していただきたいのが、中古住宅の買い取り再販サービス。そのままでは「売れにくい」物件を買い取り、リフォームで「売れる」物件に変え、販売するという仕組みのため、リフォーム以降の工程はすべて業者にお任せ。万が一売れない場合もやきもきすることもありません。

    これまで仲介業がメインだった大手不動産業者も商機を見いだして続々参入する中、約20年続けてきているのが、カチタス。2015年度には約3000戸を販売し、業界一の実績を誇ります。しかも、同社マーケティング室長の大江治利さんによると、取引の中心は、首都圏や大都市圏に比べて「家が売れにくい」とされる地方都市の戸建てです。

    「地方都市の古い物件ほど、売却までに手間隙がかかるのに薄利。不動産業者はそう考え、仲介を敬遠することも多いようですが、弊社では適切にリフォームすれば『売れる』物件になると考えます。長年の経験によって、リフォームのポイントも心得ています」

    埼玉県越谷市の築31年の家のキッチンを大幅にリフォーム

    埼玉県越谷市の築31年の家のキッチンを大幅にリフォーム。窓は小さくても明るさをキープ。
    写真提供=カチタス

  • 高値での売却は期待し過ぎないで

    高値での売却は期待し過ぎないで

    「ただ実情としては、相談される全数を買い取れるわけではありません」(大江さん)。同社では買い取った家に大規模なリフォームを加え、平均約1300万円で販売。しかし家が傷み過ぎていてリフォームの施しようがなかったり、「3000万円で買ったから、1500万円くらいで買い取ってもらえるだろう」という期待を抱いていたりする人も少なくなく、価格での折り合いがつきにくいそう。

    「地方は今後、地価が上がる可能性はとても低い。地方の家ほど、『今日が一番高く売れる日』と考えて、早めに売却に動き出す方がベター」と、前出の松浦さんもアドバイスします。高値での売却よりも、所有権は手放しても親の家を誰かに使ってもらいたいという思いが優先なら、買い取り再販サービスは向いているでしょう。

    また、「地方自治体の多くは、空き家の売買や賃貸の仲介を行う『空き家バンク』を設けています。力を入れているところは、不動産業者のように、土地や、土地と建物セットでの売り物件情報をホームページ上で紹介しています」(松浦さん)。親の家のある地方自治体の動きも、一度チェックしてみましょう。

    買い取りや売買を相談するなら

    「全国の空き家バンク」

    地方自治体が、主に居住可能な空き家物件を、売買・賃貸物件として紹介し、新住民の定住を促している。リフォームが必要な際、自治体によっては補助金を受けられる場合も。

    「カチタス」

    店舗は全国に100か所以上(東京23区、大阪、奈良、和歌山を除く)。買い取りの際には、家の中の不用品の処分も行ってくれる。
    電話:0120-593-000
    HP:katitas.jp

※この記事は、「ハルメク」2017年4月号「相続対策特集」に掲載した『親の家を負動産にしない 手放し方・残し方』を再編集しています。
取材・文=小林美香、田渕あゆみ(ともに編集部)
コンテンツ提供:ハルメク

シェアしよう!