【人生100年時代コラム VOL.08】孤独はいやですか?

一人暮らし歴25年。料理研究家・清水信子さんに学ぶ
「夫を亡くしてからのひとり時間の過ごし方」

2018/10/18

一人暮らし歴25年。料理研究家・清水信子さんに学ぶ「夫を亡くしてからのひとり時間の過ごし方」

夫を亡くして25年。人から「お元気?」と聞かれたら、いつも「元気よ!」と答えています。

NHK「あさイチ」の「解決!ゴハン」コーナーなどで明るくユーモアあふれる人柄で人気を集めている料理研究家の清水信子さん(77歳)※。ひとり暮らし歴25年の清水さんは、ひとりを楽しむレッスンを、暮らしの中で自然に取り入れていらっしゃいました。

※2016年取材当時

  • 清水さんは25年前、がんで夫を亡くし、3年ほど落ち込んだ時期がありました

    「私は結婚するまで4人きょうだいの家族の中で育ち、ひとりになるということがなかったんです。子どもがいないので、51歳でひとりになり、窓から家族連れの姿を見かけると、パッとカーテンを閉めたりして、孤独を感じていました。家にいてもすべてに夫との思い出があり、何をしたらいいかわからなかった。でも何かをしなくてはいけないという気持ちはあって。出版社の方が料理の本を作ろう、と声をかけてくれ、夢中で作りました」

    仕事に熱中し続けるうちに、「人間は適応していくものですね。妹2人は心配してくれましたが、なるべく頼らず背すじを伸ばして生きていきたいと思うようになりました」

  • 困ったことを乗り越え、徐々についたひとり力

    今はひとり暮らしベテランの清水さんですが、時には困ったり、落ち込んだりすることもあるそう。そのたびにひとり力が鍛えられていると語ります。

    「夫は大工仕事などが得意だったので、ひとりは何かにつけて不便で。たとえば、年齢とともに缶詰やビンの蓋が開けにくくなって。でも便利グッズがいろいろあるから雑貨店で見かけると買っておくの。セールスに困ったときは、玄関近くにドーベルマンの声が出るスピーカーを置いて、“猛犬注意”の貼り紙をしたら効果抜群でした」

    また、ひとり暮らしで困るのは、体調を崩したとき。「私は食べることが好きだから、具合が悪くても食べられなくなるってことはないの(笑)。リンゴのすりおろしたものはどんなときも食べられるからリンゴは年中切らしませんし、すっぽんスープの缶詰など簡単に栄養をとれるものも常備しています」

    短時間でゆであがるそうめん、すっぽんスープなどを体調不良のときや非常用に備蓄。

    短時間でゆであがるそうめん、すっぽんスープなどを体調不良のときや非常用に備蓄。

    清水さんの万能だしの作り方

    清水さんの万能だしの作り方

    (1)鍋に水1ℓ、昆布12g、かつお節12gを入れ、中火にかける。

    (2)煮立つ直前に火を弱め、3分煮る。火を止めて3分おいて昆布を取り出す。大きめの茶こしでこし、器に入れる。

    (3)すぐに塩少々を加える。

    (4)氷水をはったボウルなどに器を入れて冷まして、冷蔵庫へ。2~3日保存もできる。

  • 時には、人に甘えてもいい

    清水さんは、お互いが元気になれるような人付き合いを心がけています。人から元気?と聞かれるといつも「元気よ!」と答えているそう。

    「手紙を書くときも、もう4月も終わりねではなく、5月になったわねと書いたほうが前向きな気持ちになれるな、と。私たち世代は月日が流れていくのに敏感になっているので。贈り物なども相手がどうしたら喜んでくれるかと考えることがうれしいの」

    そして、時には人に甘えることがあってもいいと話します。「愚痴を言っても解決にはならないから、ふだんは、ちちんぷいぷい飛んでけ! と自分で解消して誰にも言いません。でも、この人なら大丈夫と心を割って話せる友だちがいるって大事ですね。そのためには日頃のお付き合いから」と言います。

    もともと好奇心が旺盛で、研究熱心な清水さん。最近、魚や野菜の入った冷凍されているスープを入手。「簡単で栄養もとれるので、自分で根菜類などを入れて似たようなものができないかなって研究中なのよ」と笑います。

    「料理研究家と名乗る以上、時代に合わせて、若い人でも簡単にできる料理を伝えていきたいのです。今の自分のいる場所でできることを楽しんで、少しでも人のお役に立てたらと思うの。喜びって人にあげたら倍、倍になって、世の中が明るくなるから。それはひとりでも誰といても変わらないこと。最後まで大好きな料理を追究して、私らしく生きていきたいわ」

  • 清水さんの「ひとりを楽しむレッスン」

    健康維持にも、落ち込んだときにも、とにかく歩く

    お気に入りのシューズでほぼ毎日30分以上、5000歩以上歩きます。「落ち込むことがあった日も体を動かすのがいいみたい。歩いているとしょうがないな、元気出さなくちゃという気持ちになるんです」

    早口言葉ははっきりと話す訓練

    壁には早口言葉の表や、何かのおまけに付いてきた「うれしいなあ たのしいなあ」といった言葉が。「大きな声でものを読むことは頭の回転にも健康維持にもよいと思っています」

    早口言葉ははっきりと話す訓練

    心を割って話せる友がいて、その友に喜んでもらえることを考えるのがうれしい

    多くの友がいるという清水さん。年末に年賀状を書くのではなく、2月の上旬に料理レシピ付きの「立春大吉カード」を。「レシピ、おいしかったわ」などと好評だそう。

    心を割って話せる友がいて、その友に喜んでもらえることを考えるのがうれしい

    次世代のための料理の研究など情熱を注ぐ仕事がある

    「若い世代が持っていない調理道具などで料理を提案しても、作ることができないでしょう。今のライフスタイルに合った料理を紹介したいと思っています」

    次世代のための料理の研究など情熱を注ぐ仕事がある

    清水さんの1日はこちら

    6:00起床。語学番組を観て、頭の体操。
    6:20テレビを観ながらラジオ体操をする。NHK Eテレ「0655」を楽しむ。
    7:00 入浴。
    8:00朝食。新聞を読んだりテレビを見たりする。
    10:00家事、仕事などをする。
    12:30昼食。外出、仕事など。
    18:00ラジオを聴きながら、夕食準備。
    19:00夕食。原稿執筆など。
    24:00Eテレ「2355」を観て、就寝。

    『「ひとり力」を鍛える暮らし方』

    『「ひとり力」を鍛える暮らし方』
    講談社刊 1404円
    ひとり暮らしのアイデアいっぱいです。

清水信子(しみず・しんこ)さん
1938(昭和13)年、東京生まれ。懐石料理から惣菜まで旬の素材を生かした簡単でおいしい和食を紹介。テレビ、ラジオ、書籍、講習会、講演会などで活躍中。ライフスタイルの変化に合わせた調理法なども追究。『和食かんたんおけいこ帖』(NHK出版刊)など著書多数。

※この記事は、「ハルメク」2016年5月号に掲載した記事を再編集しています。
取材・文=野田有香(ハルメク編集部) 撮影=篠塚ようこ
コンテンツ提供:ハルメク

シェアしよう!