【人生100年時代コラム VOL.14】「念のため」「とりあえず……」はやめましょう

薬の飲み過ぎを防ぐ、医師に聞いておきたい5つの質問

2018/11/29

薬の飲み過ぎを防ぐ、医師に聞いておきたい5つの質問

何種類もの薬を処方されて、不安になったことはありませんか? そのとき「念のため」「とりあえず」で、受け取ってしまっていませんか? 多くの薬を同時に飲むと、思わぬ不調が引き起こされることがあります。価値の高い適正な医療を受けるためのちょっとした術をお伝えします。

  • あなたは今、何種類の薬を飲んでいますか?

    あなたは今、何種類の薬を飲んでいますか?

    例えばコレステロールを下げる薬、降圧薬、胃腸薬、鎮痛薬、骨を強くする薬……。「こんなにたくさんの薬を飲まないといけないのかしら」と疑問に思っている人もいるでしょう。あるいは健康保険が利くのだから、処方されたものはとりあえず全部もらっておこうと思うでしょうか。

    「多くの薬を同時に飲むことを『ポリファーマシー』(多剤併用)といいます。これも過剰医療の可能性がある一例。この不調にはこの薬、あの不調には別の薬……と、対症療法的に薬を足していくと薬は増える一方。これは高齢になるほど顕著です。しかし、薬には副作用がつきものですから、その副作用による不調にもまた新たな薬を追加することに。そうして患者さんはよくなるどころか、ますます体調が悪くなるという悪循環に陥りがちです」と話すのは、群星沖縄臨床研修センター長で総合診療医の徳田安春さんです。

    このような場合は、飲んでいる薬の見直しが必要。「この症状の原因は何か」とひとつひとつ検証して、必要な薬と不要な薬を仕分け、減薬することが重要だといいます。

    「例えば、めまいひとつとっても、病気によるものなのか、薬の副作用によるものなのかと見極める必要があります。実際、薬剤性のめまいは多いのです。全身をトータルに診てくれるかかりつけ医などに相談するといいでしょう。薬を減らして、かえって元気になった患者さんはたくさんいます」(徳田さん)

  • 価値の低い医療から価値の高い医療に

    価値の低い医療から価値の高い医療に

    ポリファーマシーは健康だけでなく、医療費も脅かします。「OECD(経済開発協力機構)の調査によると、日本の医療費はGDP(国内総生産)の10%をすでに超えています。これは米国、スイスに次いで世界第3位。超高齢社会、高額医療や過剰医療によって医療費が一気に増えているのです。価値の低い医療を見直し、患者さんに本当に必要な価値の高い医療を実践する。それは患者さんにとっても、医療経済にとってもメリットが大きいのです」と徳田さんは強調します。

    過剰医療を見直すことは、海外でも同様に大きなテーマです。例えばカナダのチュージング・ワイズリー・キャンペーン(※)では「More is better(多ければ多いほどいい)」という文化そのものを変えることが重要だと訴えているそう。価値の低い医療をたくさん受けるより、価値の高い医療を必要最小限受けることの方がはるかに有益だ、というわけです。

    そのためにも患者自身も「念のため」とか「とりあえず」といった発想はやめ、価値の高い医療を見極める目を養いたいもの。徳田さんはこうアドバイスします。「疑問点があれば、ぜひ医師に聞いてください。医師と積極的に対話してください。私は『患者さんは話し上手に』『医師は聞き上手に』と、若い研修医たちにもよく指導しているんです」

    また海外のチュージング・ワイズリーが推奨する「5つの質問」も役に立ちそうです。「その検査や治療は本当に必要ですか?」「リスクは?」「もし受けなかったら?」「他の方法は?」「費用は?」など、検査や治療を受ける前に医師に聞いておくのです。医療を賢く選択するためには、やはり医師との対話が欠かせません。

    ※チュージング・ワイズリーとは真に必要で、副作用の少ない医療を受けるため、医療者と患者が対話を通じて“賢明な選択”を目指す活動。米国で始まり、現在はカナダ、イタリア、イギリス、オーストラリア、日本など17か国で活動を広げています。

  • 治療や検査を受けるとき医師に聞いておきたい5つの質問

    治療や検査を受けるとき医師に聞いておきたい5つの質問

    Q1 本当にこの治療が必要ですか? 

    Q2 どんなリスクを伴いますか?

    Q3 もし何も受けなかったらどうなりますか?

    Q4 もっと安全で簡単な方法はありますか?

    Q5 費用はどのくらいかかりますか?

    治療や検査の中には、あまり有用でないものや、デメリットの方が大きいものもあります。受診の際に必ず医師に確認しておきましょう。これらの質問をすることで正しい選択が可能になります。
    出典:Choosing Wisely(オーストラリア)

とくだ・やすはる

徳田安春(とくだ・やすはる)さん
群星沖縄臨床研修センター プロジェクトリーダー兼センター長
1988年、琉球大学医学部卒業。沖縄県立中部病院、聖路加国際病院などを経て、現職。JCHO本部顧問、筑波大学客員教授、獨協大学特任教授なども務める。総合診療の第一人者。後進の指導にも当たる。

※この記事は、「ハルメク」2017年8月号 健康特集『その医療、本当に必要ですか?』を再編集しています。
取材・文=佐田節子
コンテンツ提供:ハルメク

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