【人生100年時代コラム VOL.15】親子だから信頼関係があるとは限らない?

親の資産を聞き出す、最初のステップとは?

2018/12/06

老後の不安解消。65歳までに毎月30万円の生活費を作るには?

老いた親に何かがあった時、子供として親の資産がいったいどれくらいあるのか、あるいは負債がないか、とても心配です。また、万一、認知症が進んでしまったとき、成年後見制度を利用することになりますが、現在は第三者が後見人になることが多く、親の資産も親のためにかかる費用も身内の人間が思い通りに使うことができない可能性があります。そのためには、親が元気なうちに資産を把握し、この先どうしたいのか知っておきたいものです。

  • 日本人はお金のことを率直に話しにくいもの

    日本人はお金のことを率直に話しにくいもの

    親子とはいえ、きわめてプライベートな資産のことは、なかなか話すことはできません。
    親が年老いてくると、子供として心配になってくるのは親の資産についてではないでしょうか。

    親に何かあった時に慌てることがないよう、負債も含め、大まかな資産を把握しておきたいと思うのは、子供として誰もが考えることです。とはいえ、実際に親を目の前にして、お金の話を率直にできるかというと、どう切り出していいのか、誰もが悩むところです。まだ元気でいるのに、亡くなった後のこと、ましてやお金について話すことは、日本人のメンタリティとしてはばかれる意識が働いてしまうためでしょう。また、お金については非常にプライベートな題材なので、親子間でも「信頼関係」がしっかりと構築できていないと、率直に話すことは難しいところです。

  • 親子だから信頼関係があるというわけではない

    親子だから信頼関係があるというわけではない

    そもそも親子なのだから信頼はあると信じていたら、それは大きな間違いです。日頃から会話を通してコミュニケーションを密に図り、改めて信頼関係の構築を意識する必要があります。その上でこれからご紹介するスキルを活用していただきたいと思います。

    コミュニケーションのスキルの一つに『「価値基準」を引き出す』という方法があります。「価値基準」とは、ものごとにおいて、人がそれぞれ大切にしていることであり、過去の体験や経験を通して、人は大切だと思う基準を構築していきます。その定義は人によって異なりさまざまです。

    これを引き出すには、「○○について大切なことは何ですか?」というシンプルな質問が一番です。「○○」には聞きたいことの主題を入れます。この質問を投げかけ返ってきた短い文節や単語が、その人の「価値基準」なのです。

    ですが、親の資産について聞きたい時、ここで大事なのは、最初からこの主題の部分に資産やお金をストレートに入れてはいけません。それよりも、これからの未来について前向きな視点から話してもらうために、先ずは今の生活について大事にしていることは何か、あるいはこれから先の老後について大切にしていきたいことは何かについて質問することをおすすめします。

  • 大切にしていることは、「なぜ」大切なのかを聞く

    大切にしていることは、「なぜ」大切なのかを聞く

    親が答えてくれた「価値基準」について、それがどうして大事なのかを聞いてみることが次のステップになります。

    大切にしていることが「なぜ」大切なのか、その理由が引き出せるからです。できればこれを3回繰り返し質問してください。もちろん質問の仕方も考慮する必要があります。機械的に聞くのではなく、例えば、「ねえ、ずっと聞きたかったのだけど、これから先の生活で大事にしたいことって何?」のように、さりげなく、自然体で質問することです。

    親にとっては日頃頭の中でなんとなく思っていること、または無意識の中にあることを、質問によって言語化することができ、思考が整理されます。そして、その先にある目標や解決しなければならない問題点にも自ら気づくことができるのです。その上で、率直に資産について話してもらうよう提案していきます。目標や問題点にはお金も含まれることが多いので、自然に話が繋がっていきます。

    人は自分の大切なことを聞かれると嬉しいものです。価値基準の質問はシンプルでありながら、相手を尊重し承認します。それこそが深い部分で信頼関係を構築するきっかけとなるのです。

    大切にしていることは、「なぜ」大切なのかを聞く

    親から引き出した「価値基準」については、子供としての言動に反映させてください。親子の関係にもポジティブで建設的な変容が起こることでしょう。心を割って重要な話し合いをするために、まずは相手の大切なことを引き出し、把握することから始めてみましょう。

ほりぐちみずよ

堀口瑞予(ほりぐちみずよ)
コミュニケーションデザイン代表 LABプロファイル®マスターコンサルタント、トレーナー&コーチ、日本コミュニケーション能力検定協会本部トレーナー、明治大学リバティアカデミー講師。日本航空客室乗務員訓練部教官を経て独立。立ち居振る舞い、プレゼン力、コミュニケーション力を向上させる総合的なイメージコンサルティングを提供。現在、企業や大学での研修や講演活動を行う。

コンテンツ提供:ハルメク