【人生100年時代コラム VOL.21】「治らないから」「年齢だから」と諦めない!

長年のしつこいめまいも、自分で治せる!

2019/01/31

長年のしつこいめまいも、自分で治せる!

寝返りを打ったり、立ち上がったりしたとき、ふいに訪れる「めまい」は、とてもつらいもの。更年期以降は女性ホルモンの減少により、このめまいが起こりやすくなります。再発も多く、なかなか治らないと諦めがちですが、実は自分で治せる方法があるのです。それが「リハビリ体操」。1日わずか数分、毎日続けるだけで、長年のしつこいめまいが着実に改善します。さあ、今日から始めましょう!

  • めまい患者は女性に多く、60代以降に急増!

    めまい患者は女性に多く、60代以降に急増!

    2012年6月から17年7月に東京医療センターに入院しためまい患者1654人の7割強が女性。年齢は60代から急増し、70代で最多に(出典:国立病院機構東京医療センター)。

    ぐるぐる回る、ふわふわ揺れる……。そんな「めまい」に悩んでいませんか。実は、60代以降の女性は最もめまいが起こりやすい年代だと、東海大学医学部付属病院耳鼻咽喉科医師の五島史行(ごとうふみゆき)さんは話します。

    「めまいは男性より女性の方が3倍ほど多く、60代以降に急増します。めまいの患者さんは真面目で、我慢強い人がとても多い。原因には耳や脳の障害、ストレスなどがありますが、一番多いのは耳の障害で約9割を占めます」

    耳の構造

    耳は音だけでなく、バランスも感知しています。これを担うのが「前庭(ぜんてい)」という感覚器。ここには“回る感覚”に関わる三半規管と“傾き感覚”に関わる耳石器(じせきき)があり、これらの器官に異常が生じると、めまいが起こります。

    中でも最も多いのが、「良性発作性頭位めまい症」。寝がえりを打つ、急に立ち上がるなど体を動かしたときだけ、30秒〜1分間ほどぐるぐる目が回るのが典型的な症状。耳石器にある小さな粒(耳石)が剥がれて、三半規管の中に入り込んでしまうことで起こります。

    「これは閉経後の女性によく見られるタイプ。女性ホルモンのエストロゲンが減ると骨が弱くなりますが、耳石も骨と同じ炭酸カルシウムでできているため、閉経後はもろく剥がれやすくなるのです。骨粗しょう症の人はこのめまいを繰り返しやすいという報告もあります」(五島さん)

    放っておいても耳石が溶けたり、元の場所に戻ったりして、2〜4週間くらいで自然に治りますが、再発しやすいのが厄介なところ。「予防するには、自宅でできるリハビリが効果的。またカルシウム摂取や運動、日光浴など、骨によい生活を送ることも重要です」と五島さんは話します。

    めまいのタイプは下のチャートのように他にもあります。回転性のめまいが1回だけ起こった場合は「一過性前庭障害」の可能性が。一時的な血流障害などで前庭機能が低下したのが原因と考えられます。

    ぐるぐるしたり、ふわふわしたりして何度も繰り返す「反復性めまい」もあります。このとき、難聴や耳鳴りを伴うようなら「メニエール病」の可能性が大。また若い頃から片頭痛があったり、頭痛の前後にめまいが起こったりする人は、「片頭痛関連めまい」かもしれません。「閉経後、片頭痛はなくなったが、代わりにめまいが起こるようになったという人が少なくないのです」(五島さん)

    じっとしていてもふわふわする場合は、ストレスによる「心因性めまい」が考えられます。さて、あなたのめまいはどのタイプでしょうか。

    めまいの症状は?

    手足のしびれ、しゃべりにくい……
    こんなめまいは要注意

    ほとんどのめまいは時間がたてば自然に治まるものですが、中には危険なめまいもあります。その代表が脳に原因がある場合。ろれつが回らない、手足に力が入りにくい、座っていられない、安静にしているのにひどくなる……そんな症状を伴う場合は、脳出血や脳梗塞などを起こしている可能性がありますから、すぐに病院へ行きましょう。

    また突然、目の前が真っ暗になるようなめまいにも要注意。「不整脈など心臓に問題があって、脳への血流が一時的に途絶えている可能性もあります」と五島さん。心当たりのある人は循環器科で診てもらいましょう。 どのタイプのめまいもリハビリ体操が効果的です。

  • 対策編:寝ていては治らない! リハビリ体操で積極的に動かしましょう

    めまいが繰り返し起こるから、なるべく動かない……。実はこれは逆効果。「しつこいめまいは寝ていても治らず、薬を飲んでも一時的によくなるだけです。大事なのは、あえて体を動かすこと。リハビリ体操をすれば、自分でめまいを治せます」と五島さん。

    体操は2種類。一つは耳そのものに働きかける「寝返りリハビリ体操」。もう一つは、バランス中枢の小脳に働きかけて前庭機能の低下を補う「小脳トレーニング」です。「リハビリ体操中はめまいが起こりますが、それは効いている証拠。まずは1か月間続けてみてください」(五島さん)

    《注意!》
    めまいを誘発するリハビリ体操は苦痛を伴いますが、日常生活での動きですから脳や神経を傷めることはありません。ただし、リハビリ体操中に手足がしびれる、頸椎症などの首の持病があるという人は必ず医師に相談してください。

    寝返りリハビリ体操

    まずはこの体操にトライ。頭を動かすことで三半規管に入った耳石を追い出し、中にたまらないようにします。

    あおむけの状態で10秒数えます。

    1.あおむけの状態で10秒数えます。

    首だけ右側に90度回転させ、そのまま10秒。

    2.首だけ右側に90度回転させ、そのまま10秒。

    体も回転させて、さらに10秒。

    3.体も回転させて、さらに10秒。

    あおむけの状態に戻り、また10秒。左側も同様に行います。

    4.あおむけの状態に戻り、また10秒。左側も同様に行います。

    この体操でめまいが起こったら、良性発作性頭位めまい症の可能性が大。リハビリ効果があります!1日2回続けましょう。

    でも、この体操でめまいが起こらなかった場合は、他のリハビリ体操が適しています。次の体操「小脳トレーニング」をやってみましょう。

    小脳トレーニング

    寝返りリハビリ体操でめまいが起こらなかった人は、小脳トレーニングを。目と耳と足の裏を動かすことで小脳に刺激を送り、小脳のバランス調整力を鍛えます。朝昼晩の3回行いましょう。

    指を目で追う 指振り体操

    1.背すじを伸ばして椅子に座り、左手の人さし指であごを押さえます。 右手を真っすぐ伸ばし、親指を目の高さの位置に(左利きの人は逆の手で)。

    指を目で追う 指振り体操

    踏ん張りがきくよう裸足で行うのがベスト。足裏からの刺激が脳に伝わります。

    2.右手を左右に動かし、それを目で追います。頭は動かさず、目だけで追いましょう。

    指を目で追う 指振り体操

    右に1秒、左に1秒というテンポで、20秒。1、2、3……と声を出しながら行いましょう。

    頭を左右に動かす 首振り体操

    1.指振り体操と同様に座って右手を真っすぐ前に伸ばし、親指を目の高さの位置でキープ。左手は左脚の上に置きます(左利きの人は逆の手で)。

    頭を左右に動かす 首振り体操

    2.親指の先を見たまま、首を左右に振ります。手は動かさないで顔だけを動かし、親指から視線を離さないように。 20秒数えながら行いましょう。

    頭を左右に動かす 首振り体操
ごとう・ふみゆき

五島史行さん(ごとう・ふみゆき)
東海大学医学部付属病院(神奈川県伊勢原市)耳鼻咽喉科准教授。これまで延べ7000人のめまい患者にリハビリ治療を指導。著書に『薬に頼らずめまいを治す方法』(アチーブメント出版刊)など。

※この記事は、「ハルメク」2018年4月号 健康特集『めまいは自分で治せる!』を再編集しています。
取材・文=佐田節子、イラストレーション=田上千晶 
コンテンツ提供:ハルメク

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