【人生100年時代コラム VOL.25】生前贈与のメリット・デメリットとは(2)

高額な資金援助なら、「相続時精算課税」をお得に活用しよう

2019/02/28

高額な資金援助なら、「相続時精算課税」をお得に活用しよう

生前贈与のメリット・デメリットをお伝えするシリーズ後編。前編では、年間110万円以下の贈与なら10年間贈与税がかからない「暦年課税」の制度をご紹介しました。今回は、暦年課税が利用できない期間や住宅資金、事業資金などの高額の資金援助をする場合に便利な「相続時清算課税」制度をご紹介します。

  • 相続時精算課税はお得な制度

    相続時精算課税はお得な制度

    まずはじめに、「相続時精算課税」の内容を確認してみましょう。子どもの住宅の購入資金やリフォーム代、あるいは事業を興す際など親からの高額な援助資金が必要なときには、この制度が便利です。この制度を利用すれば合計2,500万円までの贈与は一旦、非課税となります。

    例えば、住宅購入資金として子どもに2,000万円を贈与した場合、通常585万5000円の贈与税が課せられます。その際に、「相続時精算課税」を利用すれば親からの相続財産に合算されますので、相続税の基礎控除額の枠に収まれば無税になる可能性があります。
    ※相続税の基礎控除額については、こちら

    ただし、「相続時精算課税」を利用するには、以下のような条件があります。

    ・贈与者が60歳以上の父母、祖父母であること。

    ・受贈者が20歳以上の子、孫であること。

    ・2,500万円の非課税枠内でも、この制度を利用した人は贈与税の申告を行うこと。

    ・この制度を一度利用すると、混合を避けるため暦年贈与110万円までの非課税枠は利用できなくなること。

    「相続時精算課税」は、将来、相続遺産と合わせて相続税を支払うという性質上、制度そのものに節税効果はありません。また、住宅の譲渡では評価額が8割減となる小規模宅地の特例が利用できなくなるなどのデメリットもある点には注意が必要です。

  • 値上がりが期待できる資産は早めに譲渡する

    値上がりが期待できる資産は早めに譲渡する

    将来値上がりしそうな自社株や不動産があるならば、譲渡した時の価格が相続時に反映されるため、安い時期に譲渡してもらった方が得策と言えるかもしれません。例えば、1億円の貸しビルを贈与で親から受け取ったとします。2,500万円を超える部分には20%の贈与税が発生しますが、貸しビルから年間600万円の家賃を10年間受け取れば、子どもは6,000万円の収入増となります。しかし、このビルを親が所有していたら、親の金融資産が6,000万円増え、さらに相続が発生した時点で不動産の価値が高騰している可能性すらあるわけです。このようなケースでは早い段階で譲渡しておくメリットが大きくなります。

    また、相続税が発生しないと想定される家庭でも、子どもの事業資金に親が1,000万円を贈与すれば177万円以上の贈与税が発生します。ところが、この制度を活用すれば無税で贈与できる上、将来の相続時も法定相続人となった子どもは税金を支払う必要がなく、結果、有効的に資金移動を行えたことになります。

  • 消費税アップで注目される住宅取得資金贈与の非課税枠

    消費税アップで注目される住宅取得資金贈与の非課税枠

    2019年10月に、いよいよ消費税が10%にアップします。そのため、駆け込みで住宅購入を急いでいる方も少なくないことでしょう。しかし、住宅取得のための資金援助を両親や祖父母から期待できる場合は、4月以降の契約がお得になるケースも……。

    これまで消費税8%の住宅を購入した場合の贈与非課税枠は最大で1,200万円が限度でしたが、2019年4月から翌3月31日(以降非課税枠は減額)までの契約であれば、最大3,000万円までの贈与が非課税となります。床面積や耐火基準、受贈者の所得(年収1,000万円以下)などに制限はあるものの、これは増税に対応した支援の特例です。合わせて、「暦年課税」か「相続時精算課税」を活用できる大変有利な制度ですので、これから住宅購入を検討している世帯は一考の価値があると思います。

やまだ・あきこ

山田章子(やまだ・あきこ)
生活経済ジャーナリストとして新聞、ラジオ、雑誌などで生活にうるおいをもたらす情報を配信している。著書に「素敵な株の見つけ方」などがある。東京と岡山の二地域居住を行い、都会だけでなく、地方の現状を考慮した老後資金のあり方にも言及している。

コンテンツ提供:ハルメク

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