【人生100年時代コラム VOL.26】充実したセカンドライフを楽しむために

アクティブシニア向け住宅ってなに?

2019/03/07

アクティブシニア向け住宅ってなに?

アクティブシニア向け住宅とは、高齢者が健康で元気なうちに入居して、同世代の人たちと趣味をはじめとするさまざまな活動を通して、充実したセカンドライフを送ることができる住まいのこと。一般的な「有料老人ホーム」とどこが違うのか、そのメリット・デメリットをご紹介します。

  • 1970年代のアメリカで誕生したシニアの生活共同体

    1970年代のアメリカで誕生したシニアの生活共同体

    アクティブシニア向け住宅とは、60代以降のまだまだ元気なシニアを入居対象とした分譲マンションなどのことを言います。通常の分譲マンションとの違いは、入居者をシニアに限定し、健康で元気なシニアがアクティブに暮らすことができるように、さまざまな施設やサービスを用意している点です。

    施設やサービスの内容は物件によって異なりますが、24時間365日の見守りサービスやコンシェルジュ対応、大浴場やレストラン、体育館、フィットネスジム、カラオケルーム、ビリヤード場、ゴルフ練習場などの施設を用意している物件もあります。シニアの人たちがいきいきとアクティブに生活できる場を備え付けているマンションだと言えるでしょう。

    もともとこのような物件が登場してきた背景には、日本版CCRC構想というものがあります。CCRC(Continuing Care Retirement Community)とは、シニアが健康なうちに入居し、終身で生活することができる生活共同体のことを言います。

    1970年代のアメリカで誕生したシニアの生活共同体

    アメリカで1970年代に誕生し、増えていきました。日本版CCRC構想とは、「東京圏をはじめとする都市部で生活する高齢者が、自らの希望に応じて地方に移り住み、地域社会において健康でアクティブな生活を送るとともに、医療介護が必要な時には継続的なケアを受けることができるような地域づくり」を目指すものとされています。地方創生のエンジンとしても期待されていて、今後も増えていくことが予想されます。

  • 所有資産として相続や賃貸に出すことも可能

    所有資産として相続や賃貸に出すことも可能

    アクティブシニア向け住宅が有料老人ホームと違う点は、あくまでも分譲マンションだという点です。有料老人ホームは利用権を取得するかたちになり、その権利は利用者一代に限ります。売却や相続、賃貸に出すことは通常不可能です。

    一方、アクティブシニア向け分譲マンションは、所有権を取得するかたちになるので、売却や相続、賃貸に出すことも可能です。所有権扱いなので、住宅ローンを組んで購入することもできます。

    シニア向けのさまざまなサービスや施設が整ったマンションを所有できるわけですから、有料老人ホームと違って資産価値があり、将来の売却や賃貸などが可能で自由度も高いといえるでしょう。

    また食事に関しても、食材料を大量に共同購入できるとあって、夫婦2人で暮らす場合よりも、割安で質の高い食生活ができるといいます。

    しかし、注意点もあります。まずは、現役ファミリー向けなどの通常の分譲マンションに比べて購入時の物件価格が高めで、管理費などの購入後の毎月の負担額も通常の分譲マンションよりも高いのが一般的です。

    それから、介護付き有料老人ホームなどと違い、介護が必要になった場合は訪問介護サービスなどを利用することになります。物件によっては介護事業所や診療所を併設している場合もありますが、要介護度や認知症の度合いが重くなると住み続けるのが困難になり、状態によっては介護付き有料老人ホームへと住み替える必要性も出てきます。

    アクティブシニア向け住宅と介護付き有料老人ホームの比較

    アクティブシニア向け住宅

    介護付き有料老人ホーム

    所有権

    あり

    なし(終身利用権)

    売却

    不可

    賃貸転用

    不可

    住宅ローン

    不可

    初期費用

    数千万円から数億円

    全国平均500万円程度

    月額費用

    管理費、食事代など(10万円程度)

    全国平均20万円程度

    介護

    訪問介護、施設内介護の場合もあるが認知症が進行した場合、状況次第で有料老人ホームに住み替えも

  • 人気のマンションのようにすぐに売れるとは限らない

    人気のマンションのようにすぐに売れるとは限らない

    アクティブシニア向け住宅のデメリットとして、入居後の仲間づくりがうまくいかない可能性もあります。さまざまなサービスや施設の利用を通じてコミュニティ(仲間)をつくり、楽しく生活していけるというのがコンセプトとなっていますが、その仲間づくりの過程でトラブルが起きたり、隣人との関係がうまくいかなかったりすることもあります。

    そのようなときには、物件を売却したり、賃貸に出したりすることもできるのがアクティブシニア向け住宅の大きなメリットではありますが、入居者の制限(年齢など)がある場合は、思うような価格では売却できなかったり、賃貸に出すことも困難であったりするかもしれません。

    そもそもアクティブシニア向け住宅(分譲マンション)は、まだそれほど広く一般に普及している物件ではないので、中古市場に十分に出回っているとはいえません。単なる物件の評価額だけで評価されるのではなく、入居後の毎月の負担の重さ、入居者の制限など、総合的に資産価値が判断されるとすると、売却したいと思ってもすぐに売れるかどうかは不透明です。

    このように見てみると、さまざまなサービスや施設などの魅力的な部分だけでなく、注意点なども十分に考慮し、比較検討していくことが重要です。購入に当たっては冷静な判断が欠かせないと言えるでしょう。

ひしだ・まさお

菱田雅生(ひしだ・まさお)
ファイナンシャルプランナー(CFP)。山一證券自主廃業後、独立系FPとして、相談業務、原稿執筆、セミナー講師などに従事。2008年に「ライフアセットコンサルティング株式会社」を設立。個人顧客向け相談業務や年間200回超の講演を行う。近著に「お金を貯めていくときに大切なことがズバリわかる本」(すばる舎リンケージ)がある。

コンテンツ提供:ハルメク