【人生100年時代コラム VOL.28】糖質を賢く食べて、健康的にやせる

スローカロリーダイエットのすすめ

2019/03/20

スローカロリーダイエットのすすめ

「正月太りした体をなんとかしたい」「やせたいけれど、ごはんをがまんするのは嫌」
そんな方におすすめしたいのが「スローカロリー」ダイエット。ごはんなどの糖質や油をちゃんと食べて健康的にやせる、とっておきの方法です。ポイントは、糖質をゆっくりとること。さあ、新しいダイエット習慣を始めましょう。

  • 糖質をゆっくり上手にとる「スローカロリー」で無理せずやせ体質に

    糖質をゆっくり上手にとる「スローカロリー」で無理せずやせ体質に

    ごはんなどの糖質を減らすことで、短期間でやせられると話題になった「糖質制限ダイエット」。今やすっかり世間に浸透し、60〜70代の意識調査(※)でも「健康のために制限している栄養素」の1位は糖質でした。(※)出典:「シニアの食生活と健康意識に関する調査」(2017年8月 株式会社ネオマーケティング)

    しかし、「糖質は、筋肉や臓器、脳を動かすエネルギー源。特に筋肉量が低下しがちなシニア世代では、筋肉の材料となるたんぱく質だけでなく、エネルギーの土台となる糖質、細胞膜などの材料となる脂質の3大栄養素をバランスよくとることが重要です」と強調するのは、駒沢女子大学教授で管理栄養士の西村一弘さん。無理な糖質制限は、体にさまざまな悪影響をもたらすといいます。

    では、糖質をきちんと食べながら健康的にダイエットする方法はないのでしょうか? その答えが、最近になって肥満や糖尿病の専門家たちが新たに提唱している「スローカロリー」という考え方です。

    血糖値上昇を抑え、太りにくい体に

    スローカロリーとは、簡単に言えば、糖質の消化吸収を”ゆっくり”にすることです。「私たちの体内では、食べた糖質の消化吸収が早いと、血糖値が急上昇します。すると、インスリンというホルモンが大量に分泌され、糖を脂肪として蓄積しようとするので太りやすくなります。反対に、糖質の消化吸収をゆっくりにすれば、血糖値の急上昇が抑えられ、インスリンが適度に分泌され太りにくくなるのです。スローカロリーな食べ方のコツをおさえ、糖質を上手にとりましょう」と西村さん。

    糖質制限ダイエットは続けるのがつらく、体重が減ってもリバウンドしがちですが、糖質をちゃんと食べる「スローカロリー」ダイエットなら、無理せずやせ体質になれるといいます。その極意を詳しく解説します。

  • 「糖質制限」の意外な落とし穴

    「糖質制限」の意外な落とし穴

    結果が出やすいと話題になった「糖質制限ダイエット」。糖質を減らすことで、短期的にはやせられても、長期的には健康や美容にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。

    • ■肌や髪、爪の老化
      糖質が不足すると、たんぱく質を糖に変えてエネルギーに使うようになり、たんぱく質が不足。肌、髪、爪の新陳代謝が悪くなり、美容面にもダメージが。

    • ■認知症リスクの上昇
      極端な糖質制限で認知症のリスクが高まる可能性が。ある調査では、65歳以上の糖尿病患者で認知症になった人の26.5%に低血糖が認められました。

    • ■筋肉の減少、基礎代謝の低下
      糖質を制限するとエネルギー不足を補うため、たんぱく質が消費され、筋肉量が減少。基礎代謝が低下し、ダイエットしてもリバウンドしやすくなります。

    • ■疲労感や集中力の低下
      糖質制限で血糖値が過度に下がると、疲れやすくなり、集中力が低下。特に脳のエネルギー源は糖だけなので、糖質不足ではやる気も出なくなります。

  • 糖質をちゃんと食べてやせる「スローカロリー」ダイエット5つのポイント

    糖質をちゃんと食べてやせる「スローカロリー」ダイエット5つのポイント
    • 【Point.1】
      主食を後まわしにする

      空腹時にいきなり、ごはんやパンなどの消化吸収されやすい糖質を食べると、血糖値が急上昇します。スローカロリーを実践するなら、食べる順番に注意しましょう。原則はただ一つ、主食を後回しにするだけ。まずは野菜や肉、魚などのおかずから食べ、5〜10分たってから主食を食べ始めましょう。それだけで糖質の消化吸収と血糖値の上昇を緩やかにできます。

      一時期、「野菜→たんぱく質(肉、魚、卵など)→主食」の順に食べる「べジファースト」が注目されましたが、最新の研究では、先に野菜を食べても、肉や魚を食べても、血糖値の上昇の仕方に差がないことがわかっています。

    • 【Point.2】
      ゆっくり噛んで食べる

      糖質を体内でゆっくり消化吸収させるには、当然ながら、ゆっくり噛んで食べることが大切です。上で解説した「主食を後まわしにする」をいくら実践しても、短時間に一気に食べてしまったのでは意味がありません。そもそも主食を5〜10分後まわしにするためには、食事全体に少なくとも20分程度はかけたいもの。しっかり噛んで時間をかけておかずを食べれば、満腹感が得やすくなり、結果的に後から食べる主食の量も抑えられます。

      よく噛んで食べるためには、噛みごたえのある野菜やきのこ、肉などをおかずに活用すると効果的。食材を大きめにカットしたり、少し硬めに調理したりすることでも、噛む回数を自然に増やせます。

    • 【Point.3】
      食物繊維と油をちゃんととる

      食物繊維と油は、胃の中にとどまっている時間が長く、腸へとゆっくり進んでいくのが特徴。そのため日々の食事で、食物繊維と油を先にちゃんととっていれば、後から入ってくる糖質の消化吸収も遅らせるので、血糖値の急上昇を抑えることができます。また、食物繊維と油をしっかりとると、満腹感が維持されるため、食べ過ぎや間食を防げます。

      近年、「体にいい油」としてエゴマ油やアマニ油などが注目されていますが、価格が高く、酸化しやすいのが難点。日常的に料理に使うには、価格が手頃で酸化しにくいオリーブ油がおすすめです。

    • 【Point.4】
      吟味して買い物する

      毎日の食事で何を食べるかは、買い物で決まる、といっても過言ではありません。スーパーなどで買い物をするときは、意識して食物繊維の多い食品を選ぶようにしましょう。

      おなかが空いていたり、安売りをしていたりすると、つい血糖値を上げるようなお菓子やパンを買いたくなるもの。でも、そこで一度冷静に考えることが大事! 家に買って帰ってしまったら、食べるのをがまんするのは相当なストレスですが、買わなければ案外あきらめがつくものです。

      間食におすすめなのは、血糖値を上げにくいチーズやナッツ類など。消化吸収がゆっくりな甘味料を活用してもよいでしょう。

    • 【Point.5】
      料理に牛乳を活用する

      牛乳には食後の血糖値の上昇を緩やかにする働きがあります。さらに毎日の料理に牛乳を活用すれば、他の食材の糖質の消化吸収も穏やかにできることがわかっています。

      牛乳を使った料理といえば、シチューなど洋食をイメージする人が多いかもしれません。でも、実は牛乳はうま味の宝庫で、だし汁の代わりに和食にも使えます。うま味がある分、減塩にもつながるため、積極的に料理に取り入れましょう。

にしむら・かずひろ

西村一弘(にしむら・かずひろ)
駒沢女子大学教授・緑風荘病院栄養室運営顧問。1961(昭和36)年生まれ。専門は糖尿病の栄養療法。女子栄養大学、相模女子大学、国立お茶の水女子大学等の非常勤講師、今成医院、石橋クリニック等を経て現職。公益社団法人東京都栄養士会会長も務める。

※この記事は、雑誌「ハルメク」2018年2月号掲載記事を再編集しています。
取材・文=五十嵐香奈(編集部)
コンテンツ提供:ハルメク

シェアしよう!