【人生100年時代コラム VOL.29】詐欺師はあなたの身近にいます

投資でダマされない!必読チェックリスト

2019/03/28

投資でダマされない!必読チェックリスト

「元本保証、リスクなく大きく儲かる投資がありますよ……」
今、シニアの老後資金を狙った詐欺事件が多発しています。老後の生活費を少しでも増やしておきたいという不安な心につけ込む甘い言葉。そんな投資詐欺の手口を暴き、詐欺に巻き込まれないためのセルフチェックシートを、お金のプロが公開します。

  • 誰もが投資詐欺被害にあう可能性がある

    誰もが投資詐欺被害にあう可能性がある

    日本という国は、「落とした財布が戻ってくる確率が高い」とか、「震災直後でも食料の配給に誰もが列を乱さずに並んでいる」などといったことが、海外から驚きとともに好評価されることがあります。子どもの頃に学校で教わった「道徳」からすれば、当たり前のことのように思えますが、世界ではなかなか当たり前のことではないようです。そのような報道を見ると、同じ日本人として誇らしい気持ちになりますし、自分が同じような境遇になったら、同じようにふるまおうと思います。

    しかし残念なことに、日本国内においても、毎日のように詐欺事件が起きています。特殊詐欺(※)に該当するものだけでも、認知件数が年間16,493件、被害額356.8億円(ともに平成30年警察庁調べ)となっています。

    ※特殊詐欺とは、面識のない不特定の者に対し、電話その他の通信手段を用いて、預貯金口座への振込みその他の方法により、現金等をだまし取る詐欺をいい、振り込め詐欺(オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺)、振り込め詐欺以外の特殊詐欺(金融商品等取引名目の特殊詐欺、ギャンブル必勝法情報提供名目の特殊詐欺、異性との交際あっせん名目の特殊詐欺及びその他の特殊詐欺)を総称したもの。

    投資に関する詐欺も昔からあります。実は筆者も過去、そのような詐欺師の片棒を担がされそうになったことがあります。

    10年ほど前のある日、日本FP(ファイナンシャルプランナー)協会から電話番号を聞いたという60歳前後の男性から電話がかかってきました。彼が言うには、ある資産家のお客さまに海外の投資案件を提案していて、その投資案件がFPから見ても安全なものであることをお客さまに説明してほしいということでした。

    珍しい内容の電話だと思いましたが、とにかく、その投資案件がどのようなものなのかを聞いてみないことには安全かどうかの判断もできないので、お客さまに説明する前に、その男性と会って話を聞いてみることにしました。

  • 詐欺師はあなたを信頼させようとあの手この手を使う

    詐欺師はあなたを信頼させようとあの手この手を使う

    指定された都内の喫茶店に行くと、先に来ていたその男性は、会うなりすぐに自分のアタッシュケースからバインダーを取り出し、自分はかなりの資産家でこんなにさまざまな証券を持っているんだと自慢気に話し始めました。バインダーにファイルされている米国国債、米国の会社の株券、日本の国債、日本の会社の株券など、数千億円分はあるという話でした。

    しかし、筆者は元証券マンです。さまざまな証券を見たことや触ったことがあります。彼が持っている証券は、よく見るとカラーコピーのようでした。そして、その証券らしきものの中に、大蔵省が発行したとされる「還付金残高確認証 金500億円」と書いてある紙があったのを筆者は見逃しませんでした。なんと、彼は詐欺師だったのです。

    この「還付金残高確認証」というのは同額の国債と引き換えることができるとする架空の証書で、昭和59年に詐欺事件として摘発された後も同様の事案が発生していると、財務省のwebサイトで注意喚起しているものです。以前このページを見たことがあったため覚えていたのです。

    彼が提案しようとしている投資案件の話を聞く以前の問題として、彼が詐欺師であることがわかってしまったのです。もうそれ以後は、話を適当に合わせながら一刻も早く彼から離れたいと思いました。30分程度で喫茶店を出た後は、すぐに警察と日本FP協会に連絡をしました。警察は被害届が出ていないとすぐには動けないということでしたが、彼の名刺(偽装の可能性が高いでしょうが)をコピーして渡しておきました。その後は、彼からの連絡も来なくなりましたし、お客さまが被害にあったという話も聞いていません。新たな被害者が出ていないことを祈るばかりです。

    この詐欺は、自分も資産家であることを信じさせて、巨額の投資資金を搾取する手口のようです。10年ほど前のことではありますが、リアルに詐欺師と対面するというめったにない経験の記憶は、昨日のことのように脳裏に焼き付いています。詐欺師はあなたの近くにもきっといます。気を付けましょう。

  • 高金利元本保証は怪しい?
    プロが教える投資でだまされないためのチェックシート

    高金利元本保証は怪しい?プロが教える投資でだまされないためのチェックシート

    さて、そんな経験のある筆者が考える「投資でダマされないためのチェックリスト」は以下のとおりです。以下の10項目のうち、7つ以上にチェックが入らなければ、その投資はやめたほうがいいでしょう。

    ✓見込まれるリターンの話だけでなく、リスクの話もきちんと聞いた。
    ✓商品内容について不明瞭なところが全くない。
    ✓その商品の運用会社や販売会社は金融商品取引業者として登録を受けている。
    ✓運用会社や販売会社が破綻した場合にどうなるかを確認した。
    ✓換金したいときにいつでも換金できるかどうかを確認した。
    ✓中途換金についての制限や手数料などのペナルティがあるかどうかを確認した。
    ✓同様の商品がほかの販売会社等でも取り扱っているかどうかを確認した。
    ✓その業者との関係性が一切ないFP(2人以上)に客観的意見を聞いてみた。
    ✓同様の商品に対するインターネット上の口コミを複数サイトで確認した。
    ✓今回の投資資金が万一ゼロになったとしても生活に支障を来すことはない。

    もちろん、7つ以上に☑できなかったからといって、それがすぐに投資詐欺だというわけではありません。しかし、どんな投資をするにしても、これらのことは最低でもチェックしてから投資をすることが大切でしょう。それが自己責任というものです。

    なお、これを機会にリスク・リターンの大原則をあらためて理解しておきましょう。

    ・大きなリターンを希望すれば大きなリスクを取らなければならない。
    ・リスクを嫌えば嫌うほど小さなリターンで我慢しなければならない。

    ハイリターンが期待できるものは必ずハイリスクですし、ローリスクなものは必ずローリターンになっています。

    現在、日本の国債は、日本銀行の金融政策の影響もあって、10年満期でも年0%近辺です。つまり、日本で最も安全な商品は、10年満期でも年間で0.1%の利息がもらえるかどうかなのです。したがって、仮に、「年5%、満期5年、元本保証」などと大きく書いてある商品があったとしたら、「きっとその分だけリスクが高いんだろうなぁ。元本保証と書いてあるけど、何か裏があるんだろうなぁ」と想像できる力を養っておくことが重要になります。

    その想像力こそが、投資でダマされないための重要なスキルなのです。

ひしだ・まさお

菱田雅生(ひしだ・まさお)
ファイナンシャルプランナー(CFP)。山一證券自主廃業後、独立系FPとして、相談業務、原稿執筆、セミナー講師などに従事。2008年に「ライフアセットコンサルティング株式会社」を設立。個人顧客向け相談業務や年間200回超の講演を行う。近著に「お金を貯めていくときに大切なことがズバリわかる本」(すばる舎リンケージ)がある。

コンテンツ提供:ハルメク

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