【人生100年時代コラム VOL.34】いまさら聞けない介護保険入門

介護保険の仕組みを知って、将来に備えよう

2019/5/9

介護保険の仕組みを知って、将来に備えよう

将来、自分自身が要介護状態になる不安を抱えている人はとても多いのですが、介護サービスの内容や費用に関しての知識は意外と持っていないようです。もしも介護が必要になったときに備えるのが公的介護保険ですが、その内容について一度おさらいしてみましょう。

  • 国民の半数が要介護になる不安を抱いている!?

    国民の半数が要介護になる不安を抱いている!?

    生活設計と生命保険に関する情報を提供している公益財団法人「生命保険文化センター」が3年ごとに調査している「生活保障に関する調査(平成28年度)」によると、自分が将来、要介護状態になることに対する不安は、「非常に不安を感じる」(40.6%)、「不安を感じる」(30.8%)、「少し不安を感じる」(19.3%)というように、多少なりとも「不安感あり」という人の合計は、90.6%にも達していることがわかります。つまり、ほとんどの人が将来の自分の介護に不安があるということです。

    とはいえ、自分の介護に不安がある理由に対する回答を見ると、「介護サービスの費用がわからない」と答えている人が49.1%もいるので、よくわからないから不安だと思っている可能性も十分あることがわかります。

    なので、今回は、公的介護保険の基本的なポイントを押さえ、民間の生命保険会社などの介護保険についてどう考えておくべきかという点をまとめたいと思います。

  • 健康保険+介護保険の自己負担額は、月給の約6%

    まず、現在の日本の公的介護保険は平成12年(2000年)度からスタートしました。

    第1号被保険者が65歳以上の人、第2号被保険者が40歳以上65歳未満で公的医療保険(いわゆる健康保険)加入者です。第1号被保険者の保険料は、一定額以上の公的年金を受け取っている人は年金から天引きされる仕組みになっていて、第2号被保険者の介護保険料は健康保険料と合わせて給与天引きされるかたちになっています。

    ちなみに、中小企業の会社員などが多く加入する「協会けんぽ」の健康保険料は、全国平均で標準報酬月額(ざっくり言えば月給)の約10%で、介護保険料は1.73%(ともに平成31年度)となっています。これらの保険料を労使折半で負担しますので、自己負担は合計で月給の約6%といったところでしょう。

    そして、公的介護保険による給付が受けられるのは、要支援や要介護の状態になった場合です。レベルは、軽いほうから「要支援1‐要支援2‐要介護1‐要介護2‐要介護3‐要介護4‐要介護5」となっていて、要支援1、2については「予防給付」、要介護1~5については「介護給付」が受けられるようになっています。

    なお、65歳以上である第1号被保険者については、要支援や要介護の状態になった理由は問われませんが、40歳以上65歳未満の第2号被保険者については、要支援や要介護になった理由が「老化が原因とされる16種類の疾病(末期がんを含む)」に限定されます。つまり、交通事故で寝たきりになった場合、65歳以上であれば介護保険の給付が受けられますが、65歳未満だと介護保険の給付は受けられないということです(老化が原因ではないので)。

    それから、公的介護保険も健康保険と同様、給付を受ける際に自己負担が必要になります。基本はかかった費用の1割の自己負担となりますが、本人の合計所得金額が160万円以上で、年金収入等の収入の合計金額が単身で280万円以上、夫婦で346万円以上の場合は2割の自己負担になります。さらに、2018年8月からは、2割負担の対象となる人で年金収入等が340万円以上の人は3割の自己負担に引き上げられました。

  • 高額な自己負担なら払い戻しも。民間の介護保険加入は冷静に検討

    高額な自己負担なら払い戻しも。民間の介護保険加入は冷静に検討

    とはいえ、公的医療保険の高額療養費の制度と同様、公的介護保険にも高額介護(予防)サービス費という制度があり、月間の自己負担額が一定額を超えた場合は、その超えた分が払い戻されるようになっています。所得によっても異なりますが、「一般」の所得の場合でも月4万4,400円を超えた分が払い戻されます。

    したがって、民間の介護保険の必要性を考える場合は、この公的介護保険では保障が不足すると思われる度合いの大きさを冷静に検討することが重要です。

    「生命保険文化センター」の調査「生命保険に関する全国実態調査(平成30年度)」によれば、平均の介護期間は4年7か月で、介護にかかった費用は、初期などの一時的にかかった費用が平均で69万円、月々の費用は7万8,000円だったようです。これらを単純に合計すると、かかった費用の合計は、約500万円になることがわかります。

    当然ながら、実際にかかる費用はケースバイケースですので一概には言えませんが、ある程度の貯蓄があれば、民間の介護保険の必要性はそれほど高くないと言えるでしょう。とはいえ、介護の必要な程度によっても金額は変わりますし、介護の期間の長短によっても金額は大きく変わります。自宅介護であれば、毎月の負担は2、3万円でも十分な可能性がありますが、施設介護になると毎月の負担は10万円を超えてくる可能性が高くなります。

    結局のところ、最終的な判断は、どの程度心配だと思うかどうかにかかってきますが、まだ現役世代として働いているのであれば、まずは万一のときのための貯蓄を優先していくことが重要かと思われます。

ひしだ・まさお

菱田雅生(ひしだ・まさお)
ファイナンシャルプランナー(CFP)。山一證券自主廃業後、独立系FPとして、相談業務、原稿執筆、セミナー講師などに従事。2008年に「ライフアセットコンサルティング株式会社」を設立。個人顧客向け相談業務や年間200回超の講演を行う。近著に「お金を貯めていくときに大切なことがズバリわかる本」(すばる舎リンケージ)がある。

コンテンツ提供:ハルメク

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