【人生100年時代コラムVOL.41】契約する前にこれだけは確認したい

リバースモーゲージの6つの注意点

2019/6/27

リバースモーゲージの6つの注意点

リタイア後のゆとりある生活資金を確保する方法のひとつとして、「リバースモーゲージ」という制度があります。リバースモーゲージは、マイホームを担保として生活資金を借りて、自分が死亡したときにマイホームを売却して返済する仕組みになっているのが一般的です。

自宅を子どもたちに残す必要のない人にとっては、住み慣れた自宅の資産価値を有効活用できることになるので非常にメリットのある制度だと言えます。しかし、取扱機関によって細かな制度内容が異なるうえ、注意すべきポイントも多いので、もし利用を検討するのであれば、最低限これだけは確認しておくべきという6つの注意点についてまとめました。

  • 自宅の資産を有効活用して、老後生活を豊かに

    自宅の資産を有効活用して、老後生活を豊かに

    リタイア後の定期的な収入が公的年金だけになってしまうと、夫婦2人分を合計しても1か月あたり平均で22万円程度の収入になるようです(平成30年度価額)。この金額は、厚生労働省が算出している標準モデル世帯(夫は平均的年収で40年間会社勤務、妻は40年間専業主婦)のものなので、実際の受取年金額は人によってかなり増減する可能性がありますが、ゆとりのある老後生活を送るためには、公的年金だけでは足りないのが一般的なようです。

    だからこそ若いうちから老後資金を貯めておくべきなのですが、思うように貯められなかった人や、将来の出費予定があるために貯蓄を取り崩せない人などが、自宅を担保に定期的または一括で資金を受け取れる制度として、「リバースモーゲージ」というものがあります。

    リバース(reverse)モーゲージ(mortgage)とは、「リバース=逆」、「モーゲージ=抵当、抵当権、ローン」なので、簡単に言えば「逆住宅ローン」です。通常の住宅ローンは、利用者が取得する住宅を担保にお金を借りて、それを毎月返済していく仕組みです。つまり、マイホームを取得するためのローンです。

    一方、リバースモーゲージは、すでにローンの返済が終わっているマイホームを担保にお金を借りて、その返済は死亡時に自宅を売却して充当するようになっているのが一般的です。欧米では古くから普及していましたが、日本では1981年に武蔵野市が福祉資金貸付事業として導入したのが初めてだといわれています。その後、不動産価格の上昇などを背景に民間の信託銀行などもサービスを始めていましたが、平成バブルの崩壊を機に、不動産の担保価値の下落や貸し倒れリスクの高まりなどを理由にサービスを終了させるところが続出しました。

    近年では、2003年に厚生労働省が65歳以上の持ち家で低所得である人を対象とした「長期生活資金支援制度(現・不動産担保型生活資金支援制度)」を作ったことなどをきっかけに、改めてリバースモーゲージへの注目度が高まり、さまざまな金融機関等も取り扱いを復活させて普及し始めました。

    自宅を子どもたちに残す必要のない人にとって、住み慣れた自宅を売却せずにその資産価値を利用して資金調達ができるリバースモーゲージは、非常に魅力的なサービスであると言えるでしょう。しかし、取扱機関によって細かな条件が異なり、それがデメリットや注意点につながるケースもありますので、以下のチェックポイントを確認し、契約にあたっては慎重に検討を重ねることが重要です。目先の生活資金欲しさに安易に契約することだけは避けましょう。

  • リバースモーゲージの6つのチェックポイントとは

    リバースモーゲージの6つのチェックポイントとは
    • チェックポイント1:契約できる年齢の制限

      契約開始年齢は「60歳~」としている金融機関等が多いですが、中には「50歳~」とか「70歳~」としているところもあります。また、契約開始年齢の上限を「80歳まで」と制限しているところもあります。

    • チェックポイント2:対象となる物件の制限

      一戸建てのみを対象としていて、マンションは対象外となっている金融機関等もあります。また、一定の地域にある物件だけを対象としている場合や、土地評価額が5,000万円以上などの担保評価額の高い物件のみを対象としている場合もあります。

    • チェックポイント3:融資極度額、利用可能額

      融資極度額は、500万円以上1億円以内や1,000万円以上2億円以内、かつ、担保となる土地評価額まで、土地評価額の50%までなど、金融機関等によって異なります。さらに、その融資極度額の範囲内で利用可能額が設定されるところもあります。融資極度額や利用可能額が設定される金融機関等の場合は、担保評価額の見直しによってその金額が途中で変更される場合もあります。

    • チェックポイント4:利息の計算方法と支払い方法

      適用金利は、短期プライムレートなどを基準金利として、その基準金利に一定の金利を上乗せした変動金利になっているのが一般的です。利息の支払いは、融資残高に対する1か月あたりの利息が計算され、その利息部分だけを毎月支払うかたちになっているところと、融資残高に加算されていくところがあります。

    • チェックポイント5:返済方法と返済額

      返済方法は、死亡時に担保物件を売却して一括返済するか、売却せずに相続人が手元の資金を使って一括返済するかを選べるようになっているのが一般的です。ただし、担保物件を売却する際、売却代金が融資残高に届かなかった場合は、足りない部分を相続人が追加して返済する必要があります。

      一部の金融機関等では、担保物件そのもので返済できるところもあります。その場合は、評価額が融資残高より低くても追加の返済が不要な代わりに、評価額が融資額より高くても差額を受け取ることはできません。なお、夫死亡後も同居していた妻が契約を引き継げるのが一般的ですが、契約の際には妻の引き継ぎが可能かどうかも確認しておきましょう。

    • チェックポイント6:推定相続人の承諾

      利用にあたって推定相続人(利用者が亡くなった際に法定相続人になると推定される人)である子どもなどの承諾が必要とされているのが一般的です。一部の金融機関等では推定相続人の承諾が不要なケースもありますが、必要な場合は全員の承諾を取るのにかかる手間や時間も考慮しておく必要があるでしょう。

    リバースモーゲージは、老後の資金調達のひとつの手段としては有効な方法です。

    以上、6つのチェックポイントを挙げましたが、その他にも細かな内容は各金融機関等によって異なる場合がありますので、メリットだけでなくデメリットや注意点の部分をしっかりと理解してから契約するかどうかを決めるべきです。できれば、推定相続人である子どもの意見なども聞いてみるとよいでしょう。

    リバースモーゲージは、老後の資金調達のひとつの手段としては有効な方法です。しかし、あくまでも借金なので、利息負担があります。2019年5月現在で、2%台後半から3%台で変動金利タイプが一般的。全期間固定金利の年1%強で借りられる住宅ローンに比べると、利息負担は2倍以上だといえるでしょう。(※1)

    借入金額が多いほど、借入期間が長いほど、その負担は重くなります。一戸建てなどの広い自宅に住み続ける必要性が低くなっているのであれば、いっそのこと売却して築浅の中古マンションなどを買うのもひとつの方法です。一戸建ての売却代金よりも安い価格の物件であれば、諸経費負担はあるものの、お金を浮かせることも可能になります。そこで浮かせたお金は、利息の負担が不要なだけでなく、資産運用に回すことも可能です。

    自宅の資産価値を有効活用するといってもさまざまな方法がありますので、慎重に検討することをおすすめします。

    ※1
    東京スター銀行 2.950%
    みずほ銀行  フリー3.475% 目的2.975%
    十六銀行  2.825~3.325%
    西日本シティ銀行  3.475%
    (いずれも2019年5月現在)

ひしだ・まさお

菱田雅夫(ひしだ・まさお)
ファイナンシャルプランナー(CFP)。山一證券自主廃業後、独立系FPとして、相談業務、原稿執筆、セミナー講師などに従事。2008年に「ライフアセットコンサルティング株式会社」を設立。個人顧客向け相談業務や年間200回超の講演を行う。近著に『お金を貯めていくときに大切なことがズバリわかる本』(すばる舎リンケージ刊)がある。

コンテンツ提供:ハルメク

シェアしよう!