【人生100年時代コラムVOL.54】住まいの水害リスクは誰にでもある!

大きな水害に備える、もしものための保険の選び方

2019/10/10

大きな水害に備える、もしものための保険の選び方

ここ数年、毎年のように大きな水害のニュースを見聞きするようになりました。もしものために備える国の補償や、水害の補償がついている保険の選び方を、ファイナンシャル・プランナーの清水香さんに教えてもらいました。

  • 私有財産は自力で守るのが基本

    私有財産は自力で守るのが基本

    近年は大雨による降水量の増加や台風の大型化などのため、住まいが水害に遭うリスクが高まっています。水害というと、河川が氾濫して床上浸水に見舞われたり、洪水や土砂崩れにより住まいが流失したりといったことを想像される方が多いと思います。

    もちろんそうなのですが、ここ数年「都市型水害」という言葉も聞かれます。都市部に住んでいても、ゲリラ豪雨など排水処理能力を超える雨が降ると、水害の恐れが生じます。ですからマンションの高層階に住んでいる場合を除き、住まいの水害リスクは誰にでもあるものと想定しておくべきでしょう。

    仮に床上浸水に見舞われると、家具や家電製品、寝具や衣類といった家財道具は水浸しになり、場合によってはすべて買い替えなければならなくなります。ドアなどの建具も水を含むと不具合が生じるため、原状回復にはリフォームが必要です。家財道具の買い替えとリフォームで数百万円以上の費用がかかるでしょう。ましてや洪水や土砂崩れで住まいが流失してしまうと、再建には数千万円の費用が必要になると考えられます。

    しかし国や自治体からの支援は限定的です。自然災害の被害が一定基準を超えると国の「被災者生活再建支援制度」が適用されますが、住まいが全壊した場合でも支援金(基礎支援金)は100万円(※1)。住まいや家財といった私有財産については自力で守るのが基本だからです。

    ※1 基礎支援金に加えて、住宅の再建(建設・購入)をすると200万円、補修をすると100万円の加算支援金が支給される。

  • 加入中の火災保険や共済の水害(火災)補償をチェック

    加入中の火災保険や共済の水害(火災)補償をチェック

    けれども数百万円、数千万円という多額な金額をご自身で賄うのは難しいこと。老後資金などに手を付けるとその後のライフプランに支障をきたし、最悪、家計が破綻することも考えられます。だからといって、子どもに頼りたくないというお気持ちもあるでしょう。

    ではどうすればよいのでしょうか。有効な対策となるのが損害保険会社の火災保険です。「水害なのに火災保険?」と意外に思われるかもしれませんが、火災保険には水災(火災保険では「水害」のことを「水災」という)の補償がセットされている商品が多くあります。まずは加入している火災保険に水災の補償があるかチェックしましょう。

    Step1
    加入している火災保険または共済に水災の補償がついているかチェック

    商品によっては、水災の補償が付いていない場合もあるので注意。

    Step2
    水災をどこまでカバーできるのか、補償内容をチェック

    水災の補償内容はどれも同じではなく、商品や契約時期によって異なる。共済の場合、そもそも見舞金程度の補償しかないものもある。

    Step3
    加入した代理店や保険会社に問い合わせて補償内容を正確に把握

    思い込みや勘違いで後悔しないように「水災の加入状況について確認したい」と問い合わせて正確な情報をチェック。

    Step4
    損害を100%補償するタイプの火災保険への掛け直しを検討

    加入中の火災保険や共済が水災について損害を100%補償する商品でなかった場合、掛け直しを検討。ただし、解約中に被災すると補償が受けられないので、新しい契約をしてから古い契約を解約するようにしましょう。

    望ましいのは、実際の損害を100%補償するタイプです。例えば全壊した場合に再建費用が2,000万円かかるとしたら、2,000万円まで補償するタイプということです。水災の補償は損害の7割までという商品もあります。これだと再建に2,000万円必要でも保険金額は1,400万円までしか出ないので、保険金のみでの原状回復は難しくなります。

  • 保険料は住まいという生活基盤を守るコスト

    保険料は住まいという生活基盤を守るコスト

    損保の火災保険ではなく、火災共済に加入している人もいるでしょう。割安な共済だと、水災の補償が150万円など見舞金程度の契約も。あまり助けにならない可能性があるので要注意です。

    火災保険や火災共済の補償内容は保険証券等で確認できますが、思い違いをする恐れもあるので、加入した保険代理店または保険会社や共済の相談窓口に問い合わせて、補償内容を正確に把握しておきましょう(Step3)。

    確認の結果、水災の補償がなかった、あるいは十分でなかった場合には、掛け直しを検討します(Step4)。前の契約については、解約時に残りの保険期間分の保険料が戻るので損にはなりません。持ち家の人は建物と家財の両方、賃貸住まいの人は家財に掛けましょう。

    水災補償が十分なタイプに掛け直すと、これまでより保険料が上がる場合もあります。しかしこれは住まいという大事な生活基盤を守るために必要なコストです。一例として、補償額が2,500万円(建物2,000万円、家財500万)の火災保険の場合、保険料は年3万4,000円(※2)。月額にならすと3,000円弱の負担で、水害に遭っても家計が破綻するような心配はなくなります。

    ※2 セゾン自動車火災保険「じぶんでえらべる火災保険」保険期間1年の例(2019年9月時点)。条件:東京都の新築木造住宅、H構造(非耐火構造)、建物保険金額2,000万円、家財保険金額500万円。補償内容/火災、落雷、破裂・爆発、風災、ひょう災、雪災、水災。

    なお自治体によってはウェブサイト上に、洪水や土砂災害など水害のリスクを表示したハザードマップを掲載している場合があります。リスクが高い地域に住んでいる人は特に早急に、そうでない地域の人も“想定外”の水害が起こることがあるので、必要に応じて火災保険等の掛け直しに着手しましょう。

    結論

    水害で家を失っても公的な支援は不十分。
    火災保険の水災補償で再建額を確保しましょう。

しみず・かおり

清水香(しみず・かおり)
ファイナンシャル・プランナー
学生時代より生損保代理店業務に携わり、ファイナンシャル・プランナー業務を開始。2001年に独立。相談業務、執筆、講演などで活躍。朝日新聞に保険記事を連載。財務省「地震保険制度に関するプロジェクトチーム」委員。著書に『あなたにとって「本当に必要な保険」』(講談社刊)他。社会福祉士でもある。

※この記事は、「ハルメク」2017年8月号に掲載した記事を再編集しています。
取材・文=萬真知子
コンテンツ提供:ハルメク

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