【人生100年時代コラムVOL.55】「いい施設」の選び方

安心して人生後半を任せられる介護施設とは

2019/10/17

安心して人生後半を任せられる介護施設とは

将来の生活を考えた時、家族に在宅介護を求めるのに気が引けたり、困難が予想される場合、自身で介護施設での生活を選択するケースが多くなっています。その時、安心して介護をお願いできる「いい施設」とはどのような所でしょうか。最後まで自分らしく安らかに暮らせる「終のすみか」の選び方をご一緒に考えてみましょう。

  • 「いい施設」は各人各様。身の丈に合った選択が前提

    介護施設を選ぶ際、多くの方は「いい施設を」と考えますが、「いい施設」は一人ひとり異なり、すべての人にとって「いい施設」というのは存在しないのかもしれません。例えば誰からみても評価の高い施設であっても、そこに入居できる資金のない人にとっては選択肢とはなりません。首尾よく入居できたとしても、途中で資金が枯渇し退去せざるを得ないということになれば、その施設はその人には「いい施設」ではなかったことになるでしょう。まずは経済性に適し、身の丈に合致した範囲内での選択が前提となります。

    また、身体状況によっても「いい施設」選びの選択肢は異なります。認知症か、要介護度はどの程度か、医療ケアの必要性はどの程度かにより選択肢が異なります。グループホームが最適だったり、特養入所が可能なケースもあったりしますが、介護付有料老人ホームを検討される方が多いのはまぎれもない現実です。近年増えているサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、介護サービスが外付けのため、各々別途で確認が必要です。

  • ホームページと重要事項説明書で、候補施設をピックアップ

    ホームページと重要事項説明書で、候補施設をピックアップ

    星の数ほどある有料老人ホーム、その中から経済的に適った範囲内でぴったり合う「いい施設」を選ぶため、皆さんは各施設のホームページを見て、概要を把握されることでしょう。ここはよさそう!そう思ったら、まず重要事項説明書を確認しましょう。ホームページからクリックできるところもありますが、多くは都道府県ごとに格納されていますので、少々堅苦しいですが、目を通してみてください。

    例えば東京都の場合はこちらです。(東京都福祉保健局)

    重要事項説明書を見れば、建設年月日、運営事業者、介護体制、職員の勤続年数、入居者の年齢や要介護度などがわかります。運営事業者は信頼できるか、施設経営は健全かを確認していきましょう。そのとき、入居率80%超の施設を選ぶのが賢明です。開設して間もない施設なら致し方ありませんが、既存の施設で入居率が低い場合は要注意です。

    施設費用は居室面積により異なりますが、同じ居室でも入居年齢が若いと高く、高齢になるほど安く設定されている施設もあります。有料老人ホームは入居時に家賃を前払いする支払い方式が基本ですが、近年前払金なしの施設が増えてきました。この場合は月額費用で家賃を支払い続けていきますので、入居期間が長期間に及ぶと総支払金額が高くなるため、一概に安いとは言い切れません。前払金コースと前払金なしコースを選択可能な施設にする場合は、十分な検討が必要です。

    ホームページと重要事項説明書チェックにより入居候補となりそうな施設をピックアップしたら、「見学」の予約を取ります。

  • 「いい施設」選びには「見学」が不可欠

    「いい施設」選びには「見学」が不可欠

    万人にとって「いい施設」はないのでは?と述べましたが、確実にいえるのは、要介護になっても自分らしさを失わず、尊厳をもって生活できるような介護・生活支援サービスの充実している施設を選択すれば「間違いがない」ということです。一人ひとりに合ったタイミングで、適切な介護が24時間絶え間なく行われているか否かは、介護職員の質に左右されます。介護職員は施設の命です。職員処遇の良好な施設は離職率が低く、職員が生き生きとやりがいを持って明るく仕事をしています。そのため質の高い介護が行われることから入居者の満足感が高く「いい施設」である場合が多いといえます。これを見学時に見極めることが大切です。

    見学を希望する施設が見つかったら予約を入れましょう。その際、ランチの試食もしたいことを伝え、スケジュールを確定させます。予約なしで訪問すると、担当者不在で見学できない場合もありますので、注意が必要です。

    館内の見学時、施設長が直接応対してくれる施設は、好感が持てます。その施設の運営哲学や運営方針を伺い、賛同できるかを判断します。その際、その運営方針通りに介護職員が実践しているかもチェック。加えて、職員間の連携はうまく取れているか、やりがいを感じて仕事をしているかを感じ取りましょう。忙しすぎて余裕がなさそうな場合は、それが常態なのかの確認も必要です。

    そして、入居者の表情をさりげなく観察します。施設での生活に満足しているかどうかは顔に表れます。食堂兼リビングで多くの時間を過ごしますが、退屈していないか、心地よさそうな表情をしているか。職員の声掛けは適切に行われているかも含め、もし、自分や家族がここに入居したら、施設長、介護職員、入居者たちと上手くやっていけそうか、雰囲気に溶け込めそうかを判断します。

    その他のチェックポイントには、以下のものがあります。

    ・ランチを試食して、口に合うかは大事な要素

    施設での楽しみのNo.1は食事です。栄養バランスのよい食事であることはもちろんですが、おいしいかどうか、これは絶対に外せません

    ・看取りを希望する場合、可能かどうか

    看取り実績がどの程度あるのかも確認

    ・医療機関との連携

    どこのクリニック、病院と連携しているか、特に持病のある人は要チェック

    ・費用の表記は適切でわかりやすいか、妥当な金額と納得できるか

    表記のほかにどんな費用がいくらくらいかかるかを確認

    ・異臭はないか

    排せつ物の処理が悪いと異臭の発生も。気になれば候補から外します

    ・レクリエーションが多岐にわたり、魅力があるか

    毎日の生活をエンジョイできそうか

    ・質問に対して、真摯に的確に回答してくれるか

    施設側の対応により、入居者を大事にするかがわかります

  • 時間帯や季節を変えて何度か見学を

    時間帯や季節を変えて何度か見学を

    これらを確認しても、一度の見学ですべてを見極めるのは困難でしょう。何度か時間帯を変え、季節を変えて見学します。さらに、数泊体験入居を行うことで、見学ではわからなかった部分や夜間の様子もつかめます。入居者や職員とも話をすることで、その施設の真相に迫ることができます。

    これまで述べたように、施設選びにはある程度の時間が必要です。ここだ!と決まれば健康診断書や必要書類を準備し、入居審査を受けます。必ず入居できるとは限らないのです。OKとなり入居契約を済ませて入居が可能になります。施設探しから入居までにはかなりの時間がかかることから、いずれは施設入居を!とお考えの場合は、早めに情報収集を開始しましょう。

    ぜひ、手間暇をかけ、安心して暮らせる介護施設を選択してください。

おかもと・のりこ

岡本典子(おかもと・のりこ)
FPリフレッシュ代表。2003年にCFP、1級FP技能士を取得しファイナンシャルプランナーとして独立。住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー
高齢期のすまい探しに特化し、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など230か所以上を見学。シニアライフを安心・安全・安寧にすごせる「終のすみか」探しをされる方の住み替えコンサルティングに注力。全国で講演を行うほか、著書に『後悔しない 高齢者施設・住宅の選び方』(日本実業出版社)がある。
FPリフレッシュ「終のすまい探し」「終活」コンサルティング 
HP:http://www.fp-refresh.jp/

コンテンツ提供:ハルメク

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