【人生100年時代コラムVOL.58】毎日、正しく食べて健康に

血管と脳を若々しくする「油のとり方」新ルール

2019/11/7

血管と脳を若々しくする「油のとり方」新ルール

少し前まで、油は「肥満や病気のもと」といわれ、ひとくくりに悪者扱いされがちでした。ところが近年、油にはさまざまな種類と特性があり、不足するとかえって健康によくない油があることも明らかになっています。最適な油のとり方を身につけましょう。

  • オメガ6系の油をとり過ぎている!

    炭水化物、たんぱく質と並ぶ三大栄養素である脂質は、体や脳にさまざまな影響を及ぼすことがわかっています。

    「私たちの体を構成する約37兆個の細胞は、一つ一つ脂質の膜で覆われています。水分を除けば、体の約40%は脂質でできており、特に脳は約65%が脂質です」と解説するのは、麻布大学教授の守口徹さん。

    血管や脳の神経細胞を柔軟にして元気に活動させるには、油の性質の良し悪しを見極め、日々の食生活でいい油をとることが大切だと話します。

    そもそも油の性質は、構成する脂肪酸によって異なります。脂肪酸はまず飽和脂肪酸(常温で固体)と不飽和脂肪酸(常温で液体)に大別されます。さらに不飽和脂肪酸は、構造の違いから一価不飽和脂肪酸の「オメガ9系」と、多価不飽和脂肪酸の「オメガ6系」「オメガ3系」の3つに分けられます。

    オメガ9系の油の代表格はオレイン酸の多いオリーブオイルで、酸化しにくいのが特徴です。またオメガ6系の油には、リノール酸を多く含むサラダ油や大豆油などがあります。

    「オメガ6系の油は加工食品やお菓子などに多く使われており、知らず知らずのうちに口にして、とり過ぎている傾向があります。オメガ6系の過剰摂取は、心疾患や動脈硬化、生活習慣病、がん、アレルギー疾患などを引き起こす可能性があるため注意が必要です」と守口さん。

    オメガ6系の油をとり過ぎている!

    一方、オメガ3系の油には魚油やエゴマ油、アマニ油などがあり、多くの人は摂取量が不足している状態です。

    守口さんいわく、「オメガ3系は、オメガ6系の過剰摂取で引き起こされる疾患を予防する他、脳を活性化させ、うつや認知症を予防・改善する作用があることが動物実験などでわかってきています」。

    血管や脳の若さを保つには、オメガ3系の油を積極的にとることが欠かせないと言います。

    「実はオメガ6系と3系の脂肪酸の代謝には同じ酵素が使われるため、体内で脂肪酸同士が競合します。オメガ6系の摂取が多過ぎると、オメガ3系が代謝されにくく、せっかくの健康効果も半減してしまうのです」と守口さん。

    重要なのは、過剰摂取しがちなオメガ6系の油を減らし、オメガ3系の油を増やして双方のバランスをとることです。そのための具体的なルールを紹介します。

  • バランスよく油をとる3つのルール

    バランスよく油をとる3つのルール

    1.炒め物などの調理にオリーブオイルを使う

    過剰摂取しがちなオメガ6系の油を減らすために活用したいのがオメガ9系のオリーブオイル。

    普段、炒め物や揚げ物といった加熱調理にオメガ6系のサラダ油などを使っているなら、オリーブオイルに替えましょう。オメガ3系のエゴマ油などは熱に弱く加熱に不向きですが、オリーブオイルは熱に強く酸化しにくいため加熱に向いています。熱に強いオメガ9系の油には、オリーブオイルの他にこめ油、菜種油などがあります。

    2.週3日以上は魚を食べ、オメガ3系の油をとる

    週3日以上は魚を食べ、オメガ3系の油をとる

    オメガ3系脂肪酸のEPAやDHAは、青背の魚をはじめ、ブリやマグロに多く含まれています。オメガ3系脂肪酸の摂取基準は50~69歳の女性で1日2g。これはマグロの刺し身なら2~3切れ、サンマなら3分の1尾、アジの開きなら1尾でとれます。

    週3日以上は魚を食べ、他の日はエゴマ油を小さじ1杯とることをおすすめします。エゴマ油は小さじ1杯程度を、サラダや納豆、冷や奴、みそ汁、ヨーグルトなどにプラスしましょう。

    3.「見えない油」のとり過ぎに注意する

    普段、スーパーやコンビニで何気なく買っている加工食品やパン、お菓子、お惣菜などにもオメガ6系の油が多く使われています。こうした「見えない油」をとり過ぎないように、購入するときは原材料表示をチェックする習慣をつけましょう。

    表示の仕方はさまざまですが、植物油脂、加工油脂、香味食用油、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどと表示されていれば、オメガ6系の油が多いと考えてよいでしょう。オメガ6系脂肪酸摂取の目安量は、50〜69歳女性で1日9.5gです。

もりぐち・とおる

守口徹(もりぐち・とおる)
1958(昭和33)年生まれ。82年、横浜市立大学卒業後、製薬会社の薬理部門に勤務。国立がんセンター研究所、東京大学薬学部に研究出向後、同大で博士号を取得。97年から米国国立衛生研究所(NIH)で脂肪酸と脳機能に関して研究。現在、麻布大学生命・環境科学部教授。著書に『カラダが変わる! 油のルール』(朝日新聞出版刊)他。

※この記事は、「ハルメク」2018年12月号に掲載した記事を再編集しています。
取材・文=五十嵐香奈(編集部)
コンテンツ提供:ハルメク

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