【人生100年時代コラムVOL.60】子や孫はかわいいけれど

「子どもへの援助」が老後破産に!?

2019/11/21

「子どもへの援助」が老後破産に!?

かわいい子どもや孫を思い、つい、少額の援助や「たまには」と大きな金銭援助をしていませんか。それが積もり積もると、いつの間にか自分の家計が火の車になることも。上手な子ども世代への援助方法とは何なのでしょうか?

  • 子どものため、が危険の入り口

    〈住宅ローンの頭金は任せてね〉〈同居する?家賃がかからなくていいでしょう〉〈光熱費だって払うわよ〉〈かわいい孫の学費は、もちろん私が払うわ〉

    子どもの家計が心配で、このように住宅ローンの頭金や孫の学費を肩代わりしている方はいないでしょうか。もしそうなら要注意。

    「自分の年金を使って子どもの家計を助けたり、過干渉になるのは危険です」とファイナンシャル・プランナーの黒田尚子さんは言います。

  • 親も子も、それぞれが自立する

    親も子も、それぞれが自立する

    30~40代の子ども世代といえば、最もお金が必要な時期です。しかし、一度援助をしてしまうと、それをやめるタイミングを失ってしまいます。そのままだと、いずれあなたの家計も子どもの家計も破綻する恐れが出てきます。

    それを防ぐには、「あなた、子がそれぞれ経済的にも精神的にも自立しなければいけません」と黒田さん。「血縁でも、まず考えるべきは自分のこと。あなたの人生は先が長いのですから。その上で、子の困り事が自分に降りかかってこないよう、早めに対策をしましょう」。子どもにダメ援助しないための、4つの心得を黒田さんに教わりました。

  • 自分の生活を守ることが第一。親や子へ、安易な援助をしない

    自分の生活を守ることが第一。親や子へ、安易な援助をしない

    心得1 自立した子世帯にしたいなら、際限ない金銭的援助をしない

    子ども世代は収入が伸び悩んでいたり、非正規雇用で働く現状に苦しんでいたりするかもしれません。しかも、住宅ローンや孫たちの教育費もあります。

    しかし、ここで金銭的な負担をあなたがしてしまうと、いつまでたっても子どもは自立できなくなってしまいます。「子どものお金の負担を減らしてあげたい」という気持ちは大変よくわかりますが、腹をくくることが重要です。

    経済的に自立できてこそ、精神的にも自立できますから。

    心得2 子どもに援助するなら、自分の老後はないと思うこと

    大した金額ではないから、子どもへの援助を続けていても何とかなる。そう考える人は多いかもしれませんが、今どれだけ援助しているか金額を把握していますか? 

    その援助を続けても、あなたが100歳になるまでやっていけるのか、貯金額と毎月の赤字をすぐに計算しましょう。援助をしてもいい人の目安は、預貯金が5,000万円以上ある人です。

    今は何もないから問題ないと考えていても、あなたに何かが起きたとき、入院費や介護費を自分の財布から支払えなくなってしまいます。子どもが助けてくれるとは限りません。

    心得3 子どもの家庭に、お金はもちろん、口も手も出さない

    心得3 子どもの家庭に、お金はもちろん、口も手も出さない

    子どもがちゃんと生活しているのか、気になるのはわかります。しかし、子どもといえども、家庭を持てば、優先順位が親から自分の家庭へと変わるのは当然のこと。親の声よりも、パートナーの声を聞くようになります。

    それに、そもそもお金は出してほしいけれど、余計な口や手は出してほしくないのが子どもたちです。過剰に干渉すれば、お互いべったりの依存状態になってしまいますし、摩擦が生じることもありえます。

    円滑な親子関係を構築していくには、つかず離れずの距離感が大事です。

    心得4 孫の教育資金の援助は、贈与税がかからない、年間110万円以内で

    預貯金が5,000万円以上あるなど、援助できる余裕がある方は相続税対策を。ただ早々と贈与したけれど、あなたの老後の資金計画が狂い、お金を戻してもらうことになった場合、そのお金は課税対象に。

    そうしないために、「贈与を受けた金額が110万円の基礎控除額以下なら贈与税の申告が不要」という制度を使い、毎年110万円ずつ贈与する方法も。

    例えば、教育資金にかかわらず、子どもへ660万円を贈与するとします。毎年、基礎控除の110万円内で6年にわたって贈与を行えば贈与税はかかりませんが、一度に660万円を贈与すると贈与税が100万円かかってしまいます(※)。

    ※一般税率の場合。特例税率(20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合)は税額が変わります。

    ただ、課税当局から税金逃れと誤解されるリスクもあるので、それを防ぐために、贈与のたびに贈与契約書を作成するなどの工夫が必要です。

黒田尚子(くろだ・なおこ)
1969(昭和44)年富山県生まれ。CFP® 1級ファイナンシャルプランニング技能士。CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター。消費生活専門相談員資格。主な著書に『親の介護は9割逃げよ 「親の老後」の悩みを解決する50代からのお金のはなし』(小学館文庫 プレジデントセレクト)。HP:http://www.naoko-kuroda.com/

※この記事は、「ハルメク」2018年8月号に掲載した記事を再編集しています。
取材・文=井口桂介(編集部)
コンテンツ提供:ハルメク

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