【人生100年時代コラムVOL.73】防災・防犯リスクを回避!

空き家を放置していると、大きな経済リスクに!?

2020/3/5

空き家を放置していると、大きな経済リスクに!?

親が亡くなり、相続したものの、誰も住まず空き家になっている実家。あちこち傷んだ家は、暴風雨や台風シーズンが来るたびに、どこか壊れるのではないかとハラハラする……。空き家の増加とともに、そうした心配をする方が増えているようです。備える方法について、ファイナンシャル・プランナーの清水香さんに教わります。

  • 増え続ける空き家、全国で約849万戸

    増え続ける空き家、全国で約849万戸

    総務省統計局「平成30年 住宅・土地統計調査」によると、総住宅数に占める空き家の割合は13.6%で、数にすると全国でなんと約849万戸。50年以上にわたり一貫して増え続けています。

    また、国土交通省「平成26年 空家実態調査」によると、空き家所有者の半数を超える人が、相続によって空き家を取得しています。それだけに、親御さんの死後、空き家になった実家を相続したためにどう維持していくか悩んでいる人は少なくないでしょうし、今後も増えていくと考えられます。

    人が住まない住居は管理が行き届きにくく、老朽化が進みやすいものです。修繕が必要な箇所があっても費用がかかるからと放置しがちで、時間の経過とともに防災上・防犯上のリスクが増していきます。

    傷んだ箇所があれば、台風や竜巻などの自然災害により破損しやすくなりますし、不審者が侵入したり放火する恐れもあります。実際に損害が発生すれば、空き家の取り壊しや残存物の片づけが必要になる事態も考えられ、数百万円以上のまとまったお金の負担が生じかねません。

  • 隣家や他人に損害を与えることも

    隣家や他人に損害を与えることも

    空き家自体が損害を被るリスクだけでなく、空き家により「他人に損害を与えるリスク」についても認識しておく必要があります。例えば台風による強風で屋根瓦が落ちて他人を死傷させるかもしれませんし、塀や家屋が倒壊して隣家に損害を与えるかもしれません。そのために法律上の損害賠償責任を問われ、多額な賠償金を請求されることも考えられます。

    このように、放置された空き家は引き継いだ子世代にとって大きな経済的リスクとなり、子世代の老後の生活設計を崩す要因になることもあるのです。こうした空き家のリスクを根本的に解決するには、売却するか、リフォームして賃貸物件にするか、いずれかを選択するしかありません。ですが、すぐに行動に移すのは難しい場合が多いでしょう。根本的な対策を検討しつつ、行動に移すまでの期間の経済的なリスクは、保険でカバーすることをおすすめします。

  • 「店舗総合保険」(火災保険)への加入がおすすめ

    「店舗総合保険」(火災保険)への加入がおすすめ

    空き家自体の損害に備えるには火災保険です。「古い家は建物としての資産価値はほとんどないから、保険を掛けても無駄なのでは?」という誤解もありますが、現在の火災保険は、同程度の住宅を再築するために必要な額が補償されるので、古い家であっても保険を掛ける意味はあります。

    ただし、空き家の場合は、住宅用の火災保険や火災共済ではなく、事務所や店舗等に向けた「店舗総合保険」という火災保険に加入することになります。補償内容は住宅用の火災保険とほぼ同じで、火災をはじめ、台風や竜巻による風水害などにも対応できます。

    空き家が原因で、他人や他人のものに損害を与えて賠償請求をされた場合に備えるには「施設賠償責任保険」という保険があります。なお、人が居住している住宅の場合には、火災保険に「個人賠償責任特約」などをセットすると、他人からの損害賠償請求に対応できます。

  • 空き家のコストは年金生活の負担に

    空き家のコストは年金生活の負担に

    店舗総合保険と施設賠償責任保険の加入保険料は、「人が居住している住宅」の火災保険の保険料と比較すると高くなります。つまりこれは、空き家の方が損害を被るリスクが高いことを示しています。

    しかも空き家だと、地震保険をセットすることはできず、地震による損害をカバーする手立てはありません。すべて自己責任となります。また、施設賠償責任保険についても、地震が原因の場合には「地震免責条項」により保険金は支払われません(これは個人賠償責任特約も同様)。

    空き家を所有していると、このようにリスクに対応するための保険のコストが割高になる上、地震保険も対象外となるなど補償が限定的になります。他に固定資産税などのコストも毎年かかってきます。空き家を引き継いだ子世代も既に年金生活だったりするケースが多いでしょうから、これは大きな負担です。やはり、なるべく早く売るなり、賃貸物件にするなりの決断をした方がよいでしょう。

    現在住んでいる自宅についても、それが持ち家であれば、いずれ、次の世代にとって負担にならないような対策を講じる必要があるでしょう。

しみず・かおり

清水香(しみず・かおり)
ファイナンシャル・プランナー。学生時代より生損保代理店業務に携わり、FP業務を開始。2001年に独立。相談業務、執筆、講演などで活躍。朝日新聞に保険記事を連載。財務省「地震保険制度に関するプロジェクトチーム」委員。著書に『あなたにとって「本当に必要な保険」』(講談社刊)他。社会福祉士でもある。

※この記事は、「ハルメク」2018年7月号に掲載した記事を再編集しています。
取材・文=萬真知子
コンテンツ提供:ハルメク

シェアしよう!