【人生100年時代コラム VOL.77】お口のケア、大丈夫?

オーラルフレイルを防いで、寝たきり予防を!

2020/4/2

オーラルフレイルを防いで、寝たきり予防を!

人生100年時代。できるだけ要介護にならずに天寿を全うしたいものです。その秘訣は、要介護一歩手前の「フレイル(虚弱)」の予防であることが、高齢者約2,000人を対象にした東京大学の調査で明らかになりました。50~60代から、プレフレイル、フレイルを防ぎましょう。

  • 要介護の入り口は、オーラルフレイル(お口の衰え)です

    要介護の入り口は、オーラルフレイル(お口の衰え)です

    フレイルとは、健康と要介護の中間の状態を指し、日本では少なくとも250万人が当てはまるといわれています。

    「寝たきりや要介護にならないために意識したいのは、口腔機能の低下である“オーラルフレイル”です。口の衰えは本人も気付きにくいのですが、真っ先に老化の兆候が表れる場所です」と、東京大学高齢社会総合研究機構教授の飯島勝矢さんは指摘します。

    オーラルフレイルが注目されるのは、口の衰えが、全身の衰えに直結することがわかってきているからです。まずは次のチェックテストでオーラルフレイルの危険度を確認してみましょう。

  • あなたは大丈夫?オーラルフレイルの危険度をチェック

    次の8つの質問に「はい・いいえ」でお答えください。

    ・半年前に比べて、硬い物が食べにくくなった
    (はい2点・いいえ0点)
    ・お茶や汁物でむせることがある
    (はい2点・いいえ0点)
    ・義歯を使用している
    (はい2点・いいえ0点)
    ・口の渇きが気になる
    (はい1点・いいえ0点)
    ・半年前と比べて外出の頻度が少なくなった
    (はい1点・いいえ0点)
    ・1日に2回以上は歯を磨く
    (はい0点・いいえ1点)
    ・1年に1回以上は歯科を受診している
    (はい0点・いいえ1点)
    ・さきいか・たくあんくらいの硬さの食べ物が噛める
    (はい0点・いいえ1点)
    あなたは大丈夫?オーラルフレイルの危険度をチェック

    合計点が
    1~2点の人は、オーラルフレイルの危険性は低いです。
    3点の人は、オーラルフレイルの危険性ありです。
    4点以上の人は、オーラルフレイルの危険性が高いです。

  • 噛む力が低下すると栄養状態も悪化し、体の機能低下へ

    飯島さんを中心に東京大学高齢社会総合研究機構は、千葉県柏市に住む65歳以上の健康な人2,044人(平均年齢73歳)を対象に「柏スタディ」と呼ばれる調査研究を実施中です。

    2012年から4年間追跡したところ、調査開始時点でオーラルフレイルだった人は、そうではない人より、要介護になるリスクが2.4倍、総死亡リスクも2.1倍高いとの結果が出たのです。

    「オーラルフレイルになると、軟らかいものを好むようになって噛む力が衰えます。そうなると、硬い食べ物を避けるため、ますます噛む力が低下。栄養状態も悪化して、口の周りや体の筋力が落ちる悪循環に陥ります。機能低下が口から全身へ広がり、要介護、寝たきりへとつながる人も少なくありません」と飯島さん。

    噛む力が低下すると栄養状態も悪化し、体の機能低下へ

    考えてみれば、口は、食べたり飲み込んだりする他、コミュニケーション、唾液の分泌、呼吸など、生きる上で欠かせない役割を果たしています。

    例えば、私たちは肉などの食べ物が口に入ると、噛んで細かくして飲み込みやすい形状にし、舌を使って喉から食道へ送り込みます。特に意識することなく、話をしながらでも、噛んで飲み込むことを繰り返しているわけです。

    ところが、口のことへの関心が低下し、歯が少なくなったり、舌や唇、口の周りの筋肉が思うように動かせなくなると、滑舌が低下し、食べこぼし、わずかなむせなどが生じ、オーラルフレイルになります。

    「お口の衰え」から「寝たきり」に至るまで

    「年のせい」などと放置すると、ますます噛む力が弱まって、身体的なフレイルが顕著になり、やがて要介護、寝たきりになってしまう人もいます。急に介護が必要な状態になるわけではなく、上の図のように、第1段階から第2段階、第3段階へ徐々に進んでいくのです。

    「オーラルフレイルだと気付いた時点で歯科検診に行ったり、口の周囲の筋肉を鍛えたりすれば、第2段階から第1段階、そして健康な状態へ戻せます」と飯島さん。オーラルフレイルになっていない人も安心せずに、口のケアをしましょう。

いいじま・かつや

飯島勝矢(いいじま・かつや)
1990年、東京慈恵会医科大学卒業。医師、医学博士。東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座講師、米国スタンフォード大学循環器内科研究員などを経て、現在は東京大学高齢社会総合研究機構教授。専門は老年医学、総合老年学。著書に『東大が調べてわかった 衰えない人の生活習慣』(KADOKAWA刊)など。

※この記事は、「ハルメク」2019年3月号に掲載した記事を再編集しています。 
取材・文=福島安紀
コンテンツ提供:ハルメク

シェアしよう!