【人生100年時代コラムVOL.86】長引く不調の原因かも

実は怖い!「家のカビ」徹底対策

2020/6/11

実は怖い!「家のカビ」徹底対策

日に日に蒸し暑くなってくる季節に気を付けたいのが、家の中に発生する「カビ」です。実は、知らないうちに私たちの体に入り込み、病気を引き起こすこともあります。危険性と予防法を正しく知って、カビから身を守りましょう。

  • しつこいせき、微熱……カビが原因かもしれません

    しつこいせき、微熱……カビが原因かもしれません

    じめじめした梅雨を迎え、水回りなどのカビに悩まされている人も多いのでは?「カビが生えやすいのは、温度が20~30℃、湿度が60%以上の環境です。まさに梅雨と9月の長雨の時期にはカビが繁殖しやすくなります」。こう解説するのは千葉大学真菌医学研究センターの矢口貴志さん。

    矢口さんによれば、浴室などの湿った場所に発生する黒カビは目に見えますが、実はリビングや寝室など、家の中の至る所に見えないカビが存在しているといいます。

    「一般の家では、1㎥当たり100~1,000個のカビが浮遊しており、私たちは1日に約1万個のカビを吸っているといわれています。個人差はありますが、たくさん吸い込むことで、花粉症のようなアレルギー症状の他、さまざまな病気を引き起こす可能性があります」と矢口さんは警鐘を鳴らします。

  • 気を付けたい! 夏型過敏性肺炎

    気を付けたい! 夏型過敏性肺炎

    その一つが、湿気を好むカビ、トリコスポロンなどを吸い込むことで発症する「夏型過敏性肺炎」です。主な症状は、せきや微熱、痰(たん)など。夏かぜと似ているため、カビが原因だと気付かぬまま放置している人が多いといいます。

    「ただし夏かぜとは違う特徴もあります。家の中のカビが原因なので、自宅にいるとせきや微熱が出て、外出や旅行の間は症状が治まるのです」と矢口さん。夏になると家でせきが続くという人は、医療機関の受診をおすすめします。

    さらに怖いのが、ホコリの中に多いカビ、アスペルギルスが肺などに入り込んでしまう「アスペルギルス症」。悪化すると呼吸困難を引き起こし、命の危険もあります。

    「健康な人ならアスペルギルスを吸っても発症しませんが、高齢者やがんの患者さんなど免疫力の落ちている人や、リウマチなどで免疫を抑える薬を服用している人などは注意が必要です」と矢口さんは指摘します。

    これらの病気を防ぐには、カビはもちろん、カビの栄養分となるホコリなどを減らすことが重要です。

  • すぐできるカビ対策、6つのポイント

    1.お風呂掃除は天井から始める

    1.お風呂掃除は天井から始める

    湿気の多い浴室は、家の中で一番カビが発生しやすい場所です。浴室のカビ対策は、まず使用後の乾燥を徹底すること。それでもカビが発生したら、塩素系のカビ取り剤で除去します。「天井にカビが繁殖していると、浴室中に胞子を降らせ、いくら床や壁を掃除しても、またすぐカビが生えてきてしまいます」と矢口さん。長い柄がついたワイパーなどを使って、天井から掃除しましょう。

    2.換気はこまめに、網戸はきれいに

    風通しの悪い環境はカビが発生しやすいので、ときどき窓を開けて換気しましょう。そのとき、気を付けたいのが網戸。「網戸に付着した土ボコリには、カビが多く含まれています。窓を開けたとき、網戸のカビが風によって部屋の中に入ってしまうので、雑巾で拭くか、水をかけて洗いましょう」と矢口さん。

    3.台所で要注意は冷蔵庫と水道口

    3.台所で要注意は冷蔵庫と水道口

    台所は、カビにとっても栄養の宝庫。まず注意すべきは冷蔵庫です。「カビは低温でも死滅せず、冷蔵庫内で繁殖します。特に野菜に付いた土や野菜くずはカビの栄養源なので、野菜室は掃除をこまめに」と矢口さん。シンクは、皿洗いのついでに掃除する習慣を。カビが発生しやすい水道口も忘れずに!

    4.部屋の掃除は朝するのが一番

    一日の中で掃除をするのに最適なタイミングは、朝です。「夜、寝ている間に、空中に浮遊していたカビの胞子は床に沈みます。歩き回ると、また舞い上がってしまうので、朝のうち、できれば起きた直後に掃除することをおすすめします」と矢口さん。ここで大事なのが、床の“拭き掃除”から始めること。「今は高性能な掃除機もありますが、一般的な掃除機だとカビを巻き上げてしまいます。フローリングや畳はハンディーモップなどでまず拭き掃除から。じゅうたんなら念入りに掃除機をかけてください」と矢口さん。

    5.布団やクローゼットに風を通す

    5.布団やクローゼットに風を通す

    「私たちは寝ている間にコップ1~2杯の汗をかくといわれています。湿気がたまる布団は、カビにとって居心地のいい環境です」と矢口さん。朝起きたら、掛け布団をめくって風を通すことを習慣にしましょう。カバーやシーツはこまめに洗うのがベストです。

    クローゼットは詰め込み過ぎず、ときどき扉を開けて空気の入れ替えを。一度着た服を洗わずしまう場合は、クローゼットの外に一晩かけて湿気をとってからにしましょう。

    6.エアコンのフィルターを清潔に

    「エアコンにカビを含んだホコリがたまっていると、使用するたびに部屋中にカビをまき散らすことになります。冷房を使い始める前に、必ずフィルターの掃除を」と矢口さん。エアコンには除湿機能がついていて、内部が湿りやすくなっています。使い終わったら、すぐに電源を切らず、20分ほど送風して内部を乾燥させるとカビ対策になります。

    「闘病中の人や高齢者は免疫力が落ち、カビによる感染で肺炎を起こすこともあります。在宅介護をされているご家族は、特にエアコンのカビに気を付けてください」

やぐち・たかし

矢口貴志(やぐち・たかし)
千葉大学 真菌医学研究センター准教授。1961(昭和36)年生まれ。早稲田大学理工学部応用化学科卒業。食料品メーカー勤務を経て、2003年より現職。生活環境のカビ、特に病原性のカビを専門に研究している。わかりやすい解説に定評があり、「世界一受けたい授業」「あさイチ」などテレビ番組にも出演。

※この記事は、「ハルメク」2019年7月号に掲載した記事を再編集しています。
取材・文=五十嵐香奈(編集部)
コンテンツ提供:ハルメク

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