【人生100年時代コラムVOL.88】月々の返済は利子分のみ

ありがたい!60歳以上が対象の住宅ローン

2020/6/25

ありがたい!60歳以上が対象の住宅ローン

子どもが独立して夫婦二人になり、年金生活がスタート。空いた部屋もあるし、これからの暮らしに合うように、住まいをリフォームするか建て替えるかしたいけれど、貯蓄を取り崩すのは不安……。そんな方に、いい方法があります。

  • 60歳以上に向けた広範な住宅ローン

    年金生活が始まる頃には住み慣れた我が家も古くなるもの。水回りのリフォームをしたい、夫婦二人のライフスタイルに合うように建て替えたい、生活至便な駅近のマンションに住み替えたいなど、快適なシニアライフのために住まいの見直しを考えている人は大勢いることでしょう。

    そこに立ちはだかるのが費用の算段です。住まいの見直しにはまとまったお金がかかります。ですが人生100年時代といわれるように長生きの時代ですから、老後資金の貯蓄にはできるだけ手を付けたくないと思うのが人情です。

    60歳以上に向けた広範な住宅ローン

    そんな場合の選択肢になるのが、住宅金融支援機構(旧・住宅金融公庫)と銀行などの民間金融機関が提携して提供する「リ・バース60」です。満60歳以上に向けた高齢者限定の住宅ローンで、自宅のリフォームや建て替えの資金、住み替え資金、サービス付き高齢者住宅の入居一時金など、住まいに関する広範な用途に利用できます。

    「年金生活者でも住宅ローンが組めるの? 返済できるの?」と疑問が湧くかもしれませんが、60歳以上の人が利用しやすいように設計された特殊な住宅ローンなのです。

    大きな特徴は次の点。通常の住宅ローンは元金と利息を返済しますが、リ・バース60の場合は毎月の支払いは利息のみなので、年金生活でもまかないやすいといえます。元金は契約者(借りた人)が亡くなったときに相続人が住まいを売却するなどして一括返済します。

    ローンは現在の自宅、または住み替え先の物件を担保に借り入れます。借入限度額は担保評価額の50%または60%までと比較的低めです。

    いくらまで借りられる?

    とはいえ契約者の死亡時に不動産価格が下落して売却代金が元金に満たないと、相続人が残債を負担することになります。これを避けるために、残債が発生しても相続人の返済が不要な「ノンリコース型」というタイプが用意されています。子どもに迷惑をかけたくないならノンリコース型がおすすめです。ただし残債の返済が必要な「リコース型」に比べてローンの金利は高めになります。

  • 申込者の6割超が年金受給者

    リ・バース60が実際にどのように利用されているのか、次の図で見てみましょう。利用者の平均年齢は約70歳で6割超が年金受給者です。年金受給者については年収100万円台〜200万円台の人の借り入れも多くあるようです。

    リ・バース60の利用状況

    資金使途が住宅の建設・購入の場合、必要資金の平均は4,024万円で借入額はその半分程度の2,077万円。必要資金をローンと自己資金で半分ずつまかなうというイメージです。全額自己資金でまかなうより、かなり老後資金を温存できます。毎月支払額の平均は4万円です。

    資金使途がリフォームの場合、必要資金の平均は617万円で借入額は487万円。必要資金の約8割をローンでまかなうイメージです。毎月支払額の平均は1万円と、不要な生命保険や医療保険を見直せばカバーできそうな金額です。

    リフォームは建設・購入と比べて必要資金が小さいため、全額ローンでまかなえるケースもあります。手元資金を減らさずに済むので年金生活者にとって魅力でしょう。

  • 変動金利型なので金利上昇に注意

    ただし注意点もあります。リ・バース60の金利タイプは現状、変動金利型のみ。変動金利型は半年ごとに適用金利が見直されるので上がる可能性があります。当然、利息である毎月支払額も上がります。

    適用金利が上がると毎月支払額が増える

    特に要注意なのは、高額な借り入れです。建設・購入で1,000万円借りた場合、適用金利が1.5%なら毎月支払額は1万8,750円ですが、4%に上昇すると5万円に上がります。利息の支払いは途中で元金を返済しない限り生涯続きますから、金利上昇リスクについてはよく検討する必要があります。

    それには手間はかかりますが、借りる前にリ・バース60の取扱金融機関で、金利が上昇したときの毎月支払額の試算を依頼することをおすすめします。リ・バース60の取扱金融機関は2020年5月現在、全国に61機関(住宅金融支援機構のホームページに載っています)。お住まいの地域によっては利用できる金融機関が複数ある場合も。金融機関により商品の内容が多少異なることもあり、適用金利もそれぞれなので、いくつか比較検討しましょう。

    なお、夫婦の場合は夫を主たる債務者、妻を連帯債務者にして契約することをおすすめします。こうすれば夫婦両方が亡くなるまで自宅に住み続けることができます。

ふかた・あきえ

深田晶恵(ふかた・あきえ)
ファイナンシャル・プランナー。個人向けコンサルティングを中心に、メディアや講演活動を通じてマネー情報を発信。得意分野は住宅資金計画や定年退職前後の生活設計など。すぐに実行できるアドバイスをすることがモットー。『サラリーマンのための「手取り」が増えるワザ65』(ダイヤモンド社刊)など著書多数。

※この記事は、「ハルメク」2019年7月号に掲載した記事を再編集しています。
取材・文=萬真知子
コンテンツ提供:ハルメク

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