【人生100年時代コラムVOL.96】将来の安心に備えて

認知症保険が続々登場、今すぐ入るべき?

2020/8/27

認知症保険が続々登場、今すぐ入るべき?

最近、新しいタイプの認知症保険がいろいろ出てきています。MCI(軽度認知障害)でも保険金が出る商品もあるそうですが、どんな場合に加入を検討すればよいのでしょう。保険に詳しいファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんに聞きました。

  • 要支援・要介護の原因1位は認知症

    要支援・要介護認定者になる人の比率は年齢が高くなるにつれて増え、75〜79歳で12.9%、80〜84歳で28%、85歳以上は過半数の60.1%となります(厚生労働省「介護給付費等実態統計月報」、総務省「人口推計月報」の各2018年7月のデータより)。

    原因の第1位は「認知症」(厚生労働省「国民生活基礎調査(2016年)」より)。要支援・要介護認定者の約6割が認知症で、要介護3以上になると、ほぼ8〜9割以上が認知症で占められます(介護保険総合データベース(2013年8月15日集計時点)より)。

    認知症のリスクは誰にでもあるわけですから、早めに費用の備えに取り組みたいものです。介護費用は公的介護保険で一定の範囲までカバーできるものの、自己負担額を気にすることなく望むようなサービスを受けるには、ご自身でも何らかの対策を立てておく必要があるからです。

    介護費用のために貯蓄を取り分けているような人はよいのですが、そこまで考えていなかった人の選択肢になるのが民間の保険です。

    認知症に備えられるのは、公的介護保険ができる前から保険会社で販売している民間介護保険。寝たきりと認知症の2つを保障するものです。要介護2〜3以上と医師に診断されると、一時金や年金が受け取れるのが一般的です。ただし、寝たきりと認知症の2つを保障するため保険料は高め。加入時の健康状態や病歴などの告知項目の内容も一定年齢以上の人にとっては厳しい傾向があります。

    ところが近年、保障内容を認知症に絞って保険料負担も手頃な水準に抑えた「認知症保険」が登場し、注目を集めています。「引受基準緩和型」といって健康状態等の告知項目の内容も緩やかになっており、病歴がある場合でも加入しやすくなっています。さらに2018年10月以降、予防や早期発見などを重視した新タイプの認知症保険の発売が相次いでいます。その代表的なものを3つご紹介しましょう。

  • MCI(軽度認知症)段階から保障される認知症予防保険

    MCI(軽度認知症)段階から保障される認知症予防保険

    まず、認知症予備軍といわれるMCI(軽度認知障害)の段階で保険金(認知症一時金)の5%が受け取れるのがSOMPOひまわり生命の「笑顔をまもる認知症保険」です。認知症一時金が100万円の場合、MCIの段階で5万円が受け取れます。

    MCIの時点で適切な治療や対策をとれば、4分の1くらいが健常に戻るといわれています。MCIで一時金が出ることが診断を受ける動機付けになり、認知症への進行を食い止められるかもしれません。

    MCIや認知症の早期発見・予防の情報提供なども受けられます。高齢者にありがちな骨折の治療費の保障も基本プランに付いています。

    「笑顔をまもる認知症保険」

    • 生命保険会社/SOMPOひまわり生命
    • 保険期間/終身
    • 契約できる年齢範囲/20~80歳
    • 保障内容/認知症一時金→100万円(※)、骨折治療給付金→5万円、他に災害死亡保険金あり。※MCIと診断された段階で5万円、その後認知症と診断されると95万円が受け取れる。MCIの診断を受けずに認知症の診断を受けた場合はその時点で100万円受け取れる。
  • 認知症にならない段階からサポートする保険

    認知症にならない段階からサポートする保険

    太陽生命の「ひまわり認知症予防保険」はその名の通り、認知症にならない段階から加入者をサポートする商品設計になっているのが特徴。

    1万円以上1万円単位で設定した「予防給付金」が契約の1年後から2年ごとに受け取れ、同社が紹介するMCIの検査などに利用できます。この検査を受けてアンケートに回答すると謝礼金が受け取れたりするので、加入者も積極的に予防策に取り組める仕組みになっています。

    認知症と診断されると最大100万円の認知症診断保険金が受け取れます(ただし予防給付金の支給は停止)。希望すれば骨折治療の保障も付けられます。

    「ひまわり認知症予防保険」

    • 生命保険会社/太陽生命
    • 保険期間/有期または終身
    • 契約できる年齢範囲/〈有期〉20~75歳、〈終身〉20~85歳
    • 保障内容/認知症診断保険金→100万円(最大)、予防給付金→契約の1年後から2年ごとに1万円以上(1万円単位)、他に満期保険金、死亡保険金あり。
  • 4項目の“簡単告知”で加入しやすいシンプル保険

    4項目の“簡単告知”で加入しやすいシンプル保険

    第一生命の「ジャスト『認知症保険』」は「公的介護保険の要介護・要支援認定を受けたことがあるか」など、認知症に関連する4つの告知項目をクリアしていれば加入できます。

    「医師による認知症の診断」かつ「公的介護保険の要介護1以上の認定」を受けると保険金が受け取れるというシンプルな内容です。

    MCIは保険金の対象外ですが、目の動きで認知機能をチェックする認知症予防アプリなど、認知症の予防・早期発見などをサポートするサービスが提供されます。

    「ジャスト『認知症保険』」

    • 生命保険会社/第一生命
    • 保険期間/定期または終身
    • 契約できる年齢範囲/〈定期〉40~70歳、〈終身〉40~85歳
    • 保障内容/認知症一時金→200万円~1,000万円※保険期間、契約年齢により異なる。

    各商品の60歳加入での保険料は月5,000〜8,000円程度。家計に無理のない範囲で検討しましょう。ご夫婦で夫の方が年上の場合、夫の加入を優先して。夫が認知症になっても、資金的な手当てがあれば妻は前向きに介護に取り組めるはずだからです。

    なお認知症保険の場合、加入者本人が認知症になると、自身で保険金を請求できないおそれがあります。そのため保険会社では「指定代理請求制度」を設け、子世代の家族等が指定代理請求人となって保険金を請求できるようにしています。

    逆にいうと子世代の指定代理請求人が立てられないと認知症保険には加入できないことも。加入している保険の内容を家族が照会できる「家族情報登録制度」の活用もおすすめします。

たけした・さくら

竹下さくら(たけした・さくら)
ファイナンシャル・プランナー。特定の金融機関に属さない独立系のなごみFP事務所を運営。個人のコンサルティングを柱に、セミナー講師や執筆活動も行う。千葉商科大学大学院客員教授、東京都中高年勤労者福祉推進員。近著に『1時間でわかる やれば得する! 保険の見直し 100の鉄則』(技術評論社刊)

※数字等は2020年7月現在のもの。

※この記事は、「ハルメク」2019年5月号に掲載した記事を再編集しています。
取材・文=萬真知子
コンテンツ提供:ハルメク

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